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―――その時は、この塔へ、私の所へ帰ってこないか?




(私は、何を言おうとしているんだ!)


ユリウスは咄嗟に口を押さえた。
彼の声はパロマに届かなかったのか、彼女はすでに城に向かう道を下っていた。そして急に立ち止まり、しばらくして振り返った彼女は真剣な眼差しで


「ユリウスさぁん!私、貴方の優しさに、本っ当に感謝しています!・・・だから!だから、恩を無駄にせず、お城の竜を倒して、必ずアリスと再会を果してみせますね!!」


と大声で叫んだ。
「は?竜??・・・・何!アリス?!」
一瞬呆けたせいで、意味を理解するのに時間がかかった。
「おいっパロマ!ちょっと待て!!!」
ユリウスが大声で叫んでも時すでに遅く、猛然と走りだしたパロマは米粒程の大きさしか見えない程遠くに行ってしまった。
(あいつ、アリスに会う為にハートの城へ向かったっていうのか?!)





―――アリスなら6時間帯後に訪ねに来ると、連絡があったのに・・・





パロマの姿は、城へと続く森の中へ消えて行ってしまった。
しばし呆然と森を眺めるユリウスだった。


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bkm


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