3


それからというもの、俺の殺した女たちが、俺のことを責めるようになった。
昼夜を問わず、ずっと、ずっと。

殺してる時だけは、その声が静かになる。
初めて女を殺した日から、何人も、何人も、殺してきた。
あいつらさ、面白いことに、一斉に喋ったりはしないんだよ。譲り合いしてんだ。
でもさ、うるさいんだよ。うるさい。




そんな生活が長く続くはずなくて。
どんどんと疲弊していった。
そんな時さ、あいつに出会ったんだ。


襟足が長い青色の髪。
娼婦がするみたいな格好してて、でもそれがよく似合ってた。
妙に色っぽい、男。
そう、男だ。


女だと勘違いして、殺して、服を剥いでから気付いた。
うわ、男じゃんって。


そのまま捨てておこうと思ったら、ぐぐぐ、と確かに死んでいたはずのやつが、起き上がってきた。

「ひっ…」

後ずさりすると、男はむっとした表情で、そのまま地面に胡座をかく。

「いったいなぁ、なんだよ君。」

ずりずりと後ずさると、にやりと男は笑う。
「君さ、うるさい、だとか殺したのに、だとか色々口走ってたよね。」
まさかさ、狂っちゃったタイプ?

嫌味ったらしく、男は笑う。
こっち寄んなよ。お前、さっきまで首からダラダラ血を流してたじゃねぇか。
血が止まってるし。てか、傷も塞がってねぇか?


やばいやばいやばい、と俺の頭の危険信号が赤色を示してる。
思わず正気に返る程の恐怖。
女は静かだ。



「殺人依存症、みたいな?そーいう感じかな?殺してなきゃ正気保てないーみたいな。」

それじゃあさ、俺のこと、殺さない?
気に入っちゃった。君のこと。


訳のわからない言葉を紡ぐ。
そうと決まったら、君の家連れていってよ!
とか、何か言ってる。
ふらふらと立ち上がり、帰路へつく。
これは、いつもの幻覚だ。

そう思って、がたがたと震える足に鞭打って、歩いていく。
その間も、男はにっこにっこと笑っていた。




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