3

放課後、「王子様」を迎えに行くと彼は教室で楽しそうに転入生と談笑していた。

「「王子様」、お迎えに上がりました。」
邪魔にならないように、とそっと声をかけると「王子様」は優しく微笑んだ。
「ありがとう駆くん。ねぇ、日向くんも一緒に送っていってもらっていい?」
そう言う「王子様」に対して俺が頷くと、「よかった、じゃあ日向くん、一緒に行こうか。」と転入生の手を握った。

「王子様」は人との接触を好まないことでも有名だ。
その「王子様」が転入生と自ら手を繋いでいる。目の前がくらっとした。
信じられない、といった気持ちと嫉妬で「王子様」の顔が見れなかった。




転入生を部屋に送り届け、「王子様」の部屋に戻る。「王子様」は「着替えてきちゃうからあがって待ってて。」と言い自室へ消えていった。
リビングに取り残される俺。薄暗い気持ちが戻ってくる。
やっぱり「王子様」は転入生が好きなのだろうか。
あの生徒会役員と同じように。

…駄目だ、望むな。
俺は「王子様」を守れればいい。そうだろ?
「王子様」を害する存在になってはいけない。
この思いは胸の中に閉じ込めておかねばならない。
それに「王子様」は学校の外に大切な人がいる、と以前言っていた。
どちらにしろ、叶わない恋なのだ。
諦めろ、俺。




「おまたせ〜。」
そんな心境を知ってか知らずか、「王子様」は部屋から出てきた。
……女物の、ルームウェアで。

ピンク色を基調としたパーカーに同色の短いズボン。長い髪をシュシュでまとめている。
「王子様」の生足がガッツリ出ている。
その足に目がいってしまうのは仕方がないことだろう。…好きな人が足露出してるんだ、しょうがねぇだろ。めっちゃ足綺麗。本当に男かよ。
さっきまでの思考が全部飛んでった。

非常に可愛らしい、女子も顔負けの姿で「王子様」は「ご飯の準備するから待ってて。」と笑った。
あーーーーーーもうかわいい。
なんだよこれ。理性試されてんのかよ。
我慢!我慢だ俺!
そうだ、意識をそらそう。
さっき考えてたことを、「「王子様」は転入生のことが好きなんですか?」

……聞いちゃった。

[ 17/26 ]

[*prev] [next#]
[しおりを挟む]


back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -