穏やかな朝

朝日が昇る。
仕切られたカーテンの隙間から光が挿し込んで閉じられた瞼を刺激する。

「んぅ……」
広い室内に鎮座した大きなダブルベッド。
そこに作られた山がもぞもぞと動いた。
「ふぁ……」
小さな欠伸と共に開いた瞼から翠色の瞳が覗いた。
パチパチと上下を繰り返す長い睫毛の下でぼんやりと視線が彷徨う。
「……朝?」
ようやく気がついたようだ。
寝ていた体がゆっくりと起き上がり、盛り上がっていた上掛けが落ちてその下にあった肌が露わになる。
白く滑らかな肌。
その身には何も纏っておらず、支えの無い豊満な胸が動きに合わせて揺れた。
「ん……」
ふいに声が聞こえてサッチはそちらを見下ろした。
隣にはマルコ、サッチの夫が寝ていた。
朝日に起こされたサッチのように目覚めの予兆だろうか。
少し眉を寄せ、うつ伏せになる姿にサッチは微笑した。
眠るその横顔にそっと顔を近づける。
「ふふっ」
サッチの指先が優しくマルコの髪を撫でる。
眉の寄っていた顔が緩み、穏やかになった。
そして寝返りを打ち、ふとその瞳が開く。
「あら、起きてたの?」
「いいや、今起きたよい」
触れていたサッチの指を取り、口づける。
伝わる唇のぬくもりにサッチはまた微笑した。
「綺麗だねい」
マルコが見つめる先には自身の肌を流れるサッチの髪。
朝日を受けたサッチの淡い茶髪はきらきらと輝いていた。
胸の上を流れるその髪をマルコはゆっくりと指で辿る。
「もうマルコったら」
窘めるような口調でも口元は笑っている。
髪に指を絡めてマルコはそこにも口づけた。
そして離れた指先は今度はその肌へと触れる。

「もう、朝っぱらからは無しよ?」
「どうしてもかい?」
「うん、どうしても」
こんな良い天気の日に部屋の中で延々行為に及ぶというのももったいない話しだ。
「触るだけなら許してあげる。でも変な触り方はしちゃダメよ?」
「つまらないねい」
言葉ではそう口にしたがサッチと同様にマルコも笑っていた。
優しくその身を引き寄せ、己の膝へと乗せる。
胸の下に腕を絡め、その肩に顔を埋めた。
「……いい匂いがするよい」
それはサッチの持つ肌匂いと朝の匂いが入り混じったもの。
温かく柔らかな匂いにマルコは瞳を閉じた。
「気持ちいいからって二度寝はダメよ?」
サッチの手はそんな俯くマルコの髪を撫でる。
「そんなもったいねぇことしねぇよい」
しばらくしてマルコは顔を上げた。
サッチの瞳とマルコの瞳が静かに重なる。
「ねぇ、マルコ」
サッチが顔を寄せ、もとより距離の無いサッチとマルコがぐっと近づいた。
唇が触れそうな距離、こつんと互いの鼻先が当たった。
「ふふふっ」
何が面白いのかサッチはそのままマルコの鼻に自分のものを擦りつけて楽しそうに笑った。
マルコもそんな無邪気なサッチの様子を楽しんでいたがやがて痺れを切らしたように口を開いた。
「楽しそうなとこ悪いが本命はこっちだろい?」
サッチの頬をマルコの手が滑り、顎を持って唇が触れた。
そして入り込む舌に抗うことなく、サッチも舌を絡めた。

流れ続ける穏やかな空気。
幸せに浸る二人を朝日は黙って照らし続けた。


(Morning full of happiness.)



エンマさんに捧げます!

少し過ぎちゃいましたが誕生日プレゼントとして捧げます♪
素敵マル♀サチ夫婦をお借りしました!
せいいっぱいいちゃいちゃさせたつもりです。
気に入っていただけるとよいのですが…。
お誕生日おめでとうございます!大好きです!


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