輪廻
ふわりふわりと意識が舞って、ぐるりぐるりと景色が回る。
ここは一体どこだろうか。
冷たいような、温かいような。気持ちいいような、苦しいような。知っているような、知らないような。考えられるような、考えられないような――。
ぐるりぐるりと回る。わからない。
ただ身を任せ、漂う。周りには無数の同じものが漂っている。みんなしてぐるりぐるりと回り、混ざり合って、離れて、また混ざり合って、そして散らばっていく。ぐるりぐるりとする度になにか薄れていく。残ったなにかが消えていく。
ただ漂うだけの混沌とした意識の中になにかが飛び込んできた。
海……青……鳥……。わからないはずなのにわかる。でもそれもぐるりぐるりと回って薄れていく。消えてしまう。
ああ、そうか。繰り返しだ。
ぐるりぐるりと自分たちは回っているのだ。
しかし、わかっても止まらない。回り続けなければならない。
漠然とした意識の中で理解する。
でもそれでも……。
抗えない浮遊の中、掠れる意識、魂で、もがく。
青い鳥を求めて。
あれは自分の大切なモノ――。
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