大好きだから

「く、る、な〜〜〜!!!」

バタバタと今日も元気な声が響き渡る。

「待てよい!サッチ!」

「待つか!というか、それずるいだろ!」

「手段なんて選んでられるかい!」

「しつけぇよ!」

剥かれた上着を握りしめながらサッチが甲板を走り去る。
後を追うのは燃え盛る青い鳥。


ドカッ!!!


「うぎゃあ!」

「捕まえたよい!」

角を曲がったところでようやく目標を捕らえた。
獣化を解いてすぐさま組み敷く。

「もう逃げられねぇ・・よ、い?」

「何すんだよ!マルコ!」

「エース?」

「ああっ!折角サッチに貰ったのに!」

「サッチに?」

慌てるエースの言葉にマルコの眉がピクリと動く。
エースの手には袋に入ったマフィンが。
今の衝撃でべっちゃりつぶれてしまっている。

マルコの手がひょいと伸びる。

「あああ!」

「これでいいだろい」

「どこがだよ!大事にとってたのに・・・!」

つぶれたマフィンはあっさりとマルコの腹の中。

「許さねぇぞ!マルコ!」

フルフルと怒りに震えるエース。
食い意地を耐えに耐えてこの仕打ちだ。

「おい!エース燃えてるって!」

ハルタの必死な声が響く。

「お前なんかに付き合ってられるかよい。俺はサッチを・・・」

「サッチならあそこだな」

ビスタの声にマルコもエースも反応を示す。

「サッチィイイ!」

エースの悲痛な叫びの向こうにサッチの姿。
その姿は青空の下、すでに裸寸前。
最後の砦が今にも剥がされそうになっている。

「イゾウてめぇ何やってんだよい!」

「そうだぞ!」

「俺も混ぜろよい!」

「そっちかよ!でも俺も混ざる〜」

「うぎゃあああ!来るなぁああ!」

「そうだぜ。お前ら俺らの楽しみを邪魔すんじゃねぇよ」

「お前も止めろぉ!」

異様な光景に周りは素知らぬ顔。
大事なのはわが身である。
日頃隊長を尊敬する4番隊の面々も心の中で合掌した。
この3人に逆らうというのはバカがやることである。
そしてそんなバカはここにはいない。

「イゾウ、ここは冷えるから部屋に入るよい。サッチが風邪でも引いたら大変だい」

「言っとくが先に捕まえたのは俺だからな」

「俺が先に捕まえようとしたんだよい!」

「実際捕まえたのは俺だろ」

「横取りしただけだろい!」

「二人とも部屋入んなら早くしようぜ。サッチ震えてるよ」

剥かれた体は秋風にさらされて微かに鳥肌を立てている。

「温めたげる」

ぎゅうっとサッチに抱きつくエース。

「エース!」

抜け駆け行為にマルコが叫ぶ。

「あ、あったけぇ」

「サッチ!」

サッチの声に寒くもないマルコがフルフルと震える。
怒りのためだ。

「俺からは散々逃げたくせにエースやイゾウは受け入れるのかい・・・」

青い炎がチラつき始める。

「な、なんかまずくないか?」

「ああ、まずいな」

嫌な気配を察したエースにイゾウが相づちを打つ。

「行くか」

「えっ?だってサッチが・・・」

「今日はマルコに譲ってやれ」

「え?ちょ、待ってくれよぉ!」

さっさと立ち去るイゾウの後をエースが追う。

残された二人。
周りにはすでに誰もいなくて・・・

「マルコ、待て!俺が悪かった!」

「いまさら遅いよい」

「本当にごめん!だから許し・・・ひぃやあああッ!」

サッチは今日も元気です。

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