寒い日

「マルコ、そりゃねぇだろ!」

サッチが叫んだ。
愛しい恋人と愛の営みをするべく訪ねてみればすやすやと眠っている。
でも寝ているだけならまだいい。
襲ってしまえばいいことなのだから。

「でもこれは無いだろ!」

再びサッチは叫んだ。
目の前には愛しい恋人の姿、ではなくて大きな鳥。
そう不死鳥がいた。
それもマルコには違いなかったがこれでは襲うもなにもあったものではない。

「マルコ〜」

一生懸命揺するもマルコは目覚めない。
仕舞いには恐ろしい鉤爪キックが飛んできた。

「う〜」

間一髪でかわしたものの寂しそうなサッチ。

「な〜、シようよ〜」

切なげな声を上げて見せても相手は気持ちよさそうに寝ている。
もこもこと動く羽姿が恨めしい。

「いっそのことこのままで襲って・・・いや、さすがに鳥相手には勃たないわ」

第一勃ったとしてそれをどこに突っ込めばいいというのか。
がっくりと肩を落とす。
未練がましくもう一度体を揺らしてみるがキュイと鳴き声が一つ漏れただけ。
相変わらず気持ちよさそうだ。

「寝言まで鳥かよ」

夢の中まで鳥になってんじゃないだろうなと軽くその頬をつねる。

「ピュヨイ・・・」

「ぶっ、ピュヨイってなんだよ」

思わず吹き出してしまった。
腹を抑えて笑うサッチの傍らで穏やかな上下を繰り返す羽毛。

「・・・仕方ねぇか」

ため息を吐きつつ頭を掻く。
そのまま諦めて立ち去るかと思われたがサッチはマルコのベッドへと潜り込んだ。

「明日覚えてろよ」

悔し紛れにその体を思いっきり締め付ける。
不死鳥が苦しそうに少しもがいた。
しばらくつまらなそうにその羽を弄んでいたサッチだが温かい羽毛の感触にやがて自身も眠りについた。

[ 15/31 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -