小説3 | ナノ
▽ 最強の味方


いつもより早く家を出て学校近くにある坂ノ下商店に向かうと既にスガはいた
私に気づくといつものように笑いながらこちらに手を振ってくる
それを見て歩く速度を少し早めた

『おはよー、ごめん待った?』
「おーす、ついさっき来たから大丈夫だよ」
『スガはこんな朝早くても爽やかだなぁ〜』
「なんだそれ」

話しながら学校へ向かう
バレー部が練習している体育館は案の定灯りがついており、なにやら騒がしかった
スガはお構いなしに扉を開ける

「おー!やっぱ早朝練かぁ」

後ろからの言葉に田中や二人の一年はビックリしていた

「!?スガさん!?なんで…」
「だってお前昨日明らかにヘンだったじゃんいつも遅刻ギリギリのくせに鍵の管理申し出ちゃったりしてさァ」
『スガ、早く入って、寒い』
「あ、わり」
「!?日菜子さんも一緒スか!?」
『おはよー朝早くから頑張るねぇ』

スガの後ろから顔を出すと田中は驚き他の二人はポカーンとしていたが一人私と目が合ってから目を見開くほど驚いていた

「マネージャーですか!?」
「日菜子先輩!?」

小さい方…日向はキラキラした顔をしながら私に聞いてくるその声と二年ぶりに聞くそいつの声は明らかに声変わりをして私が知っている彼よりも大分低い声になっていた

『久しぶりー影山ー育ったねぇ…そーですマネージャーの及川日菜子です。よろしくね日向』
「オレの名前!!」
『入部届け見たからね』

日向と私がはなしていると私が影山を知っていることにスガと田中は驚いていた
そして影山も驚いた声をしていた
見かねたスガが私たちに話しかけた


「で、なに?二人知り合い?」
『うんー中学の後輩ー』
「え!?日菜子さん北一出身だったんすか!?」
「影山と同じ中学!?」
「いや、それよりも日菜子先輩なんでマネージャーなんかに!?」
『いやー私昔から烏野バレー部入るの憧れで、高校言ったら烏野でマネージャーやるって決めてたんだー』
「そーなんですか…」
『ホラホラ、練習再開しなよ、時間ないよ!』


まだすこし納得してないような顔をしている影山に練習しろといってアップをしているスガのもとへ向かった


『アップてつだおーか?』
「おー、頼むわ!つか北一でバレーしてたの?」
『一応女バレ主将でした』

笑いながら言うとスガは少し驚いていたけど入部当時に言ったようなことを話すとそう言えばと言いながらバレーシューズの紐を結ぶ

「そーいや、その格好でやるわけ?」
『ん?あー大丈夫大丈夫!!そのために…』
「はっ!?ちょ、及川!?やめ…」
『しっかり下にはいてまーす…ってスガ?』
「何キョトンとした顔してるんだよ!!女子なんだから周り見ろって!!」
『…す、すいません…』

いきなり怒られたことにびっくりしながらスカートとカバンを端に置いてアップを手伝う
コートの方では影山が日向のレシーブ練習をしていた
影山は相変わらずうまいのはわかるけど日向はまだまだ素人って感じだよな…
これで三対三するんだよなぁ大丈夫かな
てか影山はどーみても教えるのへたくそでしょ…
これでは練習時間いくらあってもたりない…よね?

『スガぁーアップおっけー?』
「?おー」
『そんじゃさ、日向の相手してあげて、んで影山は田中とスパイク練習しなよ土曜日田中も入るんでしょ?』
「待ってましたぁ!!オレの出番!!」
「え、オレもスパイク…」
『でもまず日向はレシーブどうにかしないと攻撃に繋がんないからね』
「ううう、ハィ…」
『よし、時間ないんだからちゃちゃっとやんなよ!』
「さすが日菜子さん!!まとめるのがうまい!!」


こうして影山と田中のスパイク練習が始まりその隅でスガと日向はパスを始めた。
時間はそろそろ7時になるころでもう少ししたらきっと大地や他の部員たちもやってくるだろう
そんなときパスばかりやっていた日向がスパイク練習したいと影山にトスを上げてくれと言った
しかしその影山は眉間にしわを寄せながら嫌だと断る
レシーブが出来ていない日向にはトスはあげないと言って土曜日も極力田中に集めると言い出す
すると日向は少し表情を変えた。


「…おおれが満足にレシーブできる様になったらお前はおれにトス上げんのか」
「「勝ち」に必要な奴になら誰にだってトスは上げる
試合中やむを得ずお前に上げるかもなでも今のおまえが、「勝ち」に必要だとは思わない」
「!!」
『…………………』
「それにレシーブはそんな簡単に上達するモンじゃねーな」


影山ってあんなに勝ちにこだわる奴だっけ?
私の知ってる影山はもーちょい可愛げがあったような?
時間になり片付けを始める影山に日は苦渋の顔をしていた
そして片付けを終えると2人は体育館を出て行き本当の朝練が始まる




×××××


昼休み友達とお昼を食べ終わってから飲み物を買いに自販機へ向かうと日向とスガがパスの練習をしていた
なんだかんだスガは面倒見いいからなぁ
そこでは明日からスガがトスをあげようかと日向に言っている所で日向は嬉しそうに顔を上げるが中学の時の話しをし始めた

「どんなに仲がよくて″友達″でも本当の″チームメイト″になれるわけじゃなかったから…」

そーいえば去年中学の大会見に行ったって言ってたけ…その試合が北一と日向のいる学校だったって澤村が言ってた気がする
そっとスガの後ろに近づこうと歩いていると反対側から影山の姿が見えた


「最強の敵だったならさ今度は最強の味方じゃん」


スガがそう言った瞬間に後ろからスガの首元に買ったジュースの缶をピタッとつけた

『おつかれ!!』
「うぉっ!!冷たっ!!及川いきなり何すんだよ〜」
『昼休みまで頑張ってる選手達にマネージャーからのお裾分け!!ほら2人分』
「す、すみません!えっと及川先輩!!」
『いーよいーよ、好きでやってるだけだから』
「悪いな、及川ありがとう」
『スガはー今度坂ノ下で肉まん奢ってね!!』
「はは、りょーかい」
『じゃ私は戻るね。日向頑張れ』
「ハイ!!あざーす!!」


ジュースを渡し教室へ戻る
今度の三対三がよりいっそう楽しみになってきた







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