小説3 | ナノ
▽ 烏野高校排球部


数年前に全国に名前を轟かせた烏野高校バレー部は小さな巨人の卒業以降弱体化していった
今では県内で強くも弱くもないとしてされていた
そしてついたあだ名は「落ちた強豪飛べない烏」
そんなあだ名がついていても当時中学生だった私はなぜだかどうしようもなくここに惹きつけられた
憧れて烏野高校に入学し、バレー部に入部して今年で三年目になる

「日菜子」
『潔子、どーしたの?』
「はいこれ、入部届け澤村に渡す前に見せとこうと思って」
『おーありがとう!』

渡された紙切れを見てみると見覚えのある名前が一人いた
それは中学の時直接的ではないが何度か話したことのある後輩の名前だった
その他には三枚の紙があり、そこに書かれている一年生が入ってどーなるか楽しみになってきた
紙をまた同じマネージャーである潔子に渡しもう少しかかるクラスの仕事を終わらせてから部活に行くと伝えて教室へ戻った


いつもより少しだけ遅れて部活へ行くとすでに練習は始まっており主将である大地に声をかけようとしたとき窓の外からなにやら話し声が聞こえた。
のぞいてみるとそこには目つきの悪い黒髪の長身とオレンジの髪をした少し低めの少年がなにやら言い合いをしていた
その内の一人は中学の時の後輩なのだがなぜ練習に参加していたのかわからないためそれも含め大地に聞こうと彼の下へ向かう

『大地ー』
「おー及川、日直の仕事終わったのか?」
『うん、遅れてごめんーでさ、今日なんかあった?』
「なんで?」
『いや、外に2人なんかいるから』
「あー…色々あって2人はまだ入部認めてないんだ」
『そなの?』
「あぁ詳しくまぁ後にでも話すから今は清水の手伝い頼む」
『はーい』


後からきくと2人は大地の話を聞かず2人でケンカを始めさらには教頭にボールを当ててしまったのだと聞くそのときの大地はキレモードに入っていて少し怖かった
それにしてもケンカか…私が知っている彼はもう少し素直な性格だった気がするのだが私の知らない二年間が彼を変えたのだろう
練習は順調に進み終了の時間になり片付けをしていると二年の田中が大きな声で「勝負して勝ったら入れてください!!!」と言いながら隣にいた大地と副主将のスガに話しかけていた
多分外の話だろうと思いながら他の部員が片付けているのを手伝う
そして三人がはなしている後ろから聞こえてきたのは問題の2人の声で田中が近づくとなにやら話し込んでいるようで何があったのか後で聞いてみようと思った
話が終わったのか大地たちに近づき何があったのか聞いてみた

『なんかあったの?』
「例の一年が他の一年と三対三やることになった」
『へぇーでも2人なんでしょ?誰か入るの?』
「相手チームには俺が入る向こうには田中を入れる」
『ふーん、大地なんだかいつもより厳しいね、それほど期待してるの?その、日向と影山に』
「まぁな…」
「あれ、及川二人の名前知ってんの?」
『そっちに入部届け渡す前に潔子にみしてもらったからね』


三年二人と話しているといきなり窓側にいた田中が少し大きな声で明日の朝練の時間を確認してきた

「イキナリなんだよ」
「エっいやっあっきょっ教頭のヅラは無事だったんスかね!?」
「!?オイその話ヤメロ!!」
『なに、教頭のヅラなんかあったの?』
「ちょ、ば、及川シー!!」

スガが必死に大地をの様子を伺いながらその話題から逸らそうとする仕草に何があったのか想像出来てしまいそのまま黙った
そしてその帰り道途中までスガと一緒なので二人で帰る途中教頭のヅラが影山のサーブを取り損ねた日向のレシーブがあたり吹っ飛んで大地の頭に乗っかってしまったことを聞き声を出して笑ってしまった

『なにそれー!!ちょー見たかった』
「笑い事じゃねーよ教頭やべぇし大地もキレるし大変だったんだぞ!」
『ごめんごめん、それで大地少し機嫌悪かったんだ』
「まぁな、あ、今日の田中おかしかったよな最後」
『そーだねぇ…いつもはやらない鍵の管理やり出すしね』
「いつもより早めに朝練行ってみっかなー」
『私も行く!スガ6時ちょい前に坂ノ下商店前ね!』
「…りょーかい、じゃ気をつけろよー」

別れ道になり明日の約束をつけてそれぞれ別の道に行く
明日が少し楽しみになり機嫌よく家へと帰っていった
しかしその上機嫌も家に入った瞬間終わった


『ただいまー』
「おっかえりーひな〜」

にっこり笑いながら玄関前に立っているのは生まれてからずっと一緒に育ってきた双子の兄
相変わらずその笑顔はどうもいかすかなくそのまま無視をして部屋のある二階へ向かう

「ちょ!?無視?ヒド!!」
『うるさい、なんで玄関前にいんの?』
「もーすぐひなが帰ってくるかなーって双子のテレパシー?」
『キモっ』
「そんな蔑んだ目で見ないでよ!?」

相変わらずテンションの高い兄に構う気力はなく適当にあしらい部屋へ入り明日に備えて早く寝ようと風呂の準備をした
風呂に入る前にリビングで先ほどのやりとりで傷心中の兄にため息をつきながらぼそりと言った


『影山、烏野(うち)来たよ白鳥沢落ちたみたい』
「!!へぇ、あのトビオちゃんがねぇ…公式戦が楽しみだ」

先ほどとは打って変わって新しいおもちゃでも見つけたような笑みを浮かべてこちらを見た
こーゆう顔をした奴を見るのは苦手なのでそのまま風呂に向かうと無視したのが気にくわなかったのかリビングから何か叫んでいるがそれも無視しといた
めんどくさい奴だなと思うがいずれ戦う相手となる彼はその影山と因縁の相手なのだった
しかしその二人が戦うにはまず影山は今度の三対三に勝たなければならない
そのための明日からの早朝練習が楽しみであった

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