[飴]

*長編/From here to there with youヒロイン

「ん…、ちょ…っ」

「ククッ、物欲しそうな顔しやがって」

初めてサソリの気持ちを聞いたとか、初めてキスされたとか、全部が頭の中でグルグル回り混乱する。
突然の出来事に声が出なかった。
勿論、突然キスされただけじゃなくてサソリが抱くなんて言うから。

自覚が無かったが、自分はきっとサソリの事が好きなのだろう。
だからこのままサソリが自分を求めればきっと拒めない。
意地悪で、自分勝手で、わがまま。
だけど時折見せる優しさがくすぐったくて惹かれた。
それでも、サソリは傀儡だから叶わない想いだって思っていた。

「あのサソリ…、待っ…。サ、ソリは傀儡で…、その…」

「今の俺はお前と同じ人間の身体だ。ククッ…、残念だったな。まぁ、出来る限り優しくしてやる」

なんて自分勝手な人なのだろうか。
でも、そんな人に惚れてしまった自分は救いようの無い馬鹿なのかもしれない。
まるで、その言葉が合図の様にサソリの唇が身体をゆっくりと這う。
袖の無い服はいとも簡単に取り払われ、あっという間に下着姿になる。
恥ずかしさで左手で顔を覆う様に隠せば、隠すなと言われ手首を掴まれたままベッドに押さえつけられる。

唇を這わせてはキスしたり、軽く噛んだり。
くすぐったいけれど、身体の奥から鳥肌が立つのを感じる。
サソリから少しずつ与えられる感覚にだんだんと身体が麻痺して溺れてしまいそうだった。

***

「ん…、ふっ…っ」

さて、いつまで我慢していられるか見ものだな。
邪魔な下着を取り外せば、一瞬小さく身体を震わせる名無しを他所にゆっくりと胸の突起に舌を這わす。
そこは既に主張する様に上を向いており、自然と笑みがこぼれる。
声を漏らさない様に耐えている名無しの姿がやけに色っぽく感じ、自然と気持ちが昂っていくのを感じる。

胸からウエストにかけてゆっくりと手を這わし敏感な所へと辿り着く。
足で手の侵入を止めようと小さく抗うが自分にとってその抵抗など造作もない事。

「あっ…、や…ぁ、サソリっ…!」

「ククッ…、だんだん良い声出て来たじゃねーか…」

下からなぞる様に上へと指を動かせばきつく瞳を閉じる名無しの顔が目に入る。
閉じようとする足に身体を割り込ませ、それを阻止する。

何度か往復し引ける腰を逃げられない様にしっかりと掴み、人差し指をゆっくりと侵入させていく。
中は程よく濡れており、慣らした後でゆっくりと指を動かし始めれば自然と名無しの口からは甘い吐息が漏れ始める。
表情も快楽を少しずつ感じ始めているのか、薄っすらと赤みを帯びていた。

「ん…ぁ、サソリ、やめて…っ」

「やめて、じゃねーだろ…。指、増やすぞ。…力抜いてろ」

少しずつ主張し始めている己の欲望は早く外に出たいと言わんばかりにどんどん大きさを増していく。
そろそろ頃合いかと自身の服を脱ぎ捨てれば、戸惑い気味に視線を逸らされる。

「む、無理…、こんなの…。は、入らない、よ…」

「女の身体ってのはちゃんと入るようになってるんだ。さっさと諦める事だな。…さて、そろそろやるか」

耳まで真っ赤になっている名無しの手を引き自身の元へと手繰り寄せる。
軽く引っ張るだけでいとも簡単に腕の中に収まる身体を再び愛撫し、ありとあらゆる所に唇を這わす。

軽く吸い上げれば薄っすらと残る赤い印。
そのまま再び名無しを後ろへと押し倒し口付ける。
舌を絡ませれば遠慮がちながらもそれに応える姿に一種の快感を覚える。

「…力、抜け」

「はっ、サソ…、んっ…!」

キスをしながら自身を宛がい、ゆっくりと軽く律動させながら奥へと進んで行く。
侵入者を拒む様にそこは狭く自身を締め付ける。
柔らかく温かい内壁が自身を包み込み、無意識のうちに熱い息を漏らす。
久しぶりの感覚に余裕が無くなっている事に気付く。
肩に抱き付く様に顔を寄せている名無しの声と息が聴覚を刺激し、今すぐにでも滅茶苦茶に壊してやりたい衝動に襲われる。

(はっ…、たかが小娘に欲情するとはな…。赤砂のサソリも落ちたものだな…)

***

初めて感じる感覚におかしくなりそうだった。
痛みは思っていた程ではなく、それよりもサソリから与えられる刺激の方に意識が集中してしまう。

時折、きつく閉じていた瞳を開ければ、今まで見たことの無い様な表情をしたサソリが顔いっぱいに広がり視線が重なり合う。
そのまま何も言わずキスを落とされ揺さぶられる。
緩やかだった動きは段々と一定の速さへと変化し不思議な波が襲う。

「あっ…、はぁ、はっ…、ん…っ」

「…っ、はぁ…、名無し…」

自分を呼ぶサソリの声がずっと頭に残る。
それはまるで甘い痺れに侵されている様な感覚。
自然と漏れる声にさえ気持ちが昂る。

出来る限り優しくしてやるって言ったけど、最初からずっと優しくしてくれて、今も自分の身体に合わせて動いてくれているサソリが無性に愛おしく感じ、
自然と首元へと腕を伸ばしサソリを引き寄せる。
我慢してるって分かっていたから。

「…んっ、サソリ…、我慢…しないで」

そう耳元で伝えれば、少し驚いた様な顔をしながらも後悔するなよとキスをしながら色っぽい声で返され、クラクラと眩暈がしそうだった。
今まで一定だった動きが段々と早くなり、それに合わせて自身の口から漏れる声と息も早くなる。
何度も体重を掛ける様に押し込まれ、その度に甘い痺れが身体中を襲う。

(はっ…、良い顔してんじゃねーか…)

叩きつける様に腰を打ち付ければ、時折、苦しそうな表情はするが、その合間に聞こえる熱の篭った声が自分を何度も呼び、まるでもっと求められている様に感じた。
より身体を密着させて更に奥へと押し込む。
お互いの息遣い、熱の篭った艶かしい声、静かな部屋に響く情事特有の音。
肌をぶつけ合う音が部屋中に響き速さを増して行く。

「あ…っ、はぁ、はっ…!んっ…サソリ、待っ…!」

「…後悔するな、って言っただろ…っ、待たねーよ…」

そろそろ自身の限界を感じ更に激しく腰を打ち付ければ細い身体も激しく揺さ振られる。
最初は拗ねてる名無しを慰めるだけのつもりが、いつの間にか手を出し抱いている。
だが、自分の下で初めて与えられる快楽に溺れている姿を見ればそれも悪くないと思った。

そろそろ名無しも限界なのだろう。
内壁が痙攣し動く度に強く締め付ける。

「は…、んっ…、サソリ…っ!」

「っ…」

そのまま欲を中へと吐き出す。
根元から力強く押し付ければ名無しの中で何度か脈を打ち、少しずつ落ち着きを取り戻す。
自身を押し付けたまま、ゆっくりと息を落ち着かせれば未だ締め付けを感じる事が出来る。
名無しは初めての事で疲れたのか、うっとりした様な表情で肩で息をしていた。

「ん…、ちょ…、まだ動かない、でっ…」

「ククッ、ったく…本当に飽きねー奴だな…」

自身を引き抜きそのままベッドで横になる。
チラリと名無しへと視線を向ければ、眠っているのか、ただ疲れて瞳を閉じているだけなのかは分からないが隣で大人しく横になっていた。

初めての割には大して痛がりもせず、思っていた以上に自分好みの身体だった。
こんな姿をデイダラが見たら何て言うだろう。
人一倍プライドの高いアイツの事だ。
鬱陶しい事になるのは一目瞭然だろう。
まぁ、見せる気などないが。

そんな事を考えていたら、いつまで経っても大人しい名無しの様子が気になり声を掛けたが返事は返って来ず、規則正しい寝息が聞こえて来た。

(…寝てやがる。…まぁ、無理もねーか。修行で疲れてるって言ってたしな)

自分に「我慢しないで」と言ったこいつが悪い。
仕方なくブランケットを掛けてやれば、もぞもぞと暖を取るように腕に擦り寄って来た。
本当に変わった女だ。
傀儡に嫉妬する奴なんて見た事ない。

「いつかお前が俺の傀儡になるまで、もっと可愛がって俺好みにしてやるよ…。ククッ…覚悟するんだな」

眠っている名無しには決して届かない言葉を囁きながら名無しの頬を撫でる。
そして明日の朝、目を覚ました名無しが自分の姿を見てどんな反応をするのかを楽しみにしながら瞳を閉じる。

←prev next→
Topへ Mainへ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -