小説 | ナノ
職場体験をどこにするかようやく決まったので、今日は先にお父さんに報告してから明日書類を先生に提出しようと考えていた。
「ただいま〜」
「「おかえり〜」」
「え?」
帰ると、返事が二つ。お母さんは相変わらず病院のはずだ。
「えっ、ええ…!!?“ホークス”!?」
「あら。ご存知?うれしいなあ」
「い、イヤイヤイヤ!?なんでウチに!?」
「小さい頃に会ってるぞ〜、ちなみに俺の甥っ子でお前のイトコだぞ。」
「イトコが3!!?」
お父さん!?カミングアウトすぎる!!と怒るが、まあこいつめちゃ忙しいからな。覚えてないか〜といつもの感じで躱される。
「じゃあ、今日は、お父さんに会いに…?」
「そんなかしこまらんでええんよ、
いや、今日はね美鳥ちゃんを落としに来たけん。」
「落とし…?」
「そう、一応希望は送ったはずだけど。職業体験、ウチに来ませんか?ってね。他に譲りたくないけん。」
「炎司のとこにいくより啓悟のほうが安心だからな!!」
ちゅ。と手の甲にキスされてヒェア…!!?と声にならない悲鳴を上げた。
ホークスの大人の色気に充てられて声が出ないまま、最後の力で例の書類を前に出す。
「…?わ、もしかして元々そのつもりやったん?」
「(無言で頷く)」
「わっは〜嬉しか〜!!」
「!!?」
ギュウッ!と抱き着かれ、鼻をかすめるホークスの香り。
仲良しだな!!とお父さんは笑っているが、いつものセンサーは親戚には機能しないんだろうか。
「じゃあ、色よい返事ももらえたし俺、戻るけんね叔父貴。」
「おう、気をつけて帰るんだぞ〜」
そういいながらも、2なので見送りは不要と言わんばかりに、お父さんは中に戻った。
「ホークス、っ、」
「美鳥ちゃん、」
私もじゃあ、と手を振ろうとしたがその手を掴まれる。
「俺イトコだし、年も離れてるけど本気だからね。」
「へ?」
何のこと?と聞こうとしたときには彼は飛んでいて、叔父貴が俺に警戒心なしで助かるなぁ。と言い残していった。
「え?なに…どういうこと…?」
疑問だけが残り、職業体験が不安になるのであった。
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