小説 | ナノ
「先日行ったドラフト会議の結果がコレだ」

そういって黒板に表示されたそれに目を見張る。


轟4123件
爆豪3556件
滑空2587件
・・・・・



「例年バラつくんだが…、今年は3人に注目が集まったな」



「うっわ、差がエグくない…?」

「ぐわー!かっちゃんに負けた!!」

「爆豪1位だったのに指名数は2位ってなんでだ?」

「表彰台で拘束されるなんて素行悪すぎてビビったんじゃないかな?」

「ビビってんじゃねーよプロが!!」

「2500件以上指名きてるのに悔しがってる美鳥もなかなかだね!」



「これを踏まえ、職場体験に行ってもらう。そのためのヒーロー名だ、雑につけんなよ」


皆が思い思いの感想を言う中、ミッドナイト先生が入ってくる。
今日のヒーロー情報学は、ミッドナイト先生担当でヒーローネームを決めるようだ。
相澤先生は、ヒーローネームの査定のセンスないからとミッドナイト先生に頼み、イソイソと就寝した。




「うーん…何にしよう、」


みんなが、さらさらとペンを走らせる中、ペンを握りまっさらなボードと睨めっこしていた。
時間だけが過ぎ、未だ決まらないまま発表が始まっていく。




「この名に恥じぬ行いを。万物ヒーロー“クリエティ”」

「“ショート”」

「名前!?いいの!?」

「あぁ」

「漆黒ヒーロー“ツクヨミ”」

「夜の神様!」

「“グレープジュース!”」

「ポップ&キッチュ!」




テンポよく進む中、ただ1人爆豪だけが“爆殺王”と発表しダメ出しを食らっていたが、他のクラスメイト達は順調に進んでいく。


「次、麗日さん!」

「考えてありました。“ウラビティ”」

「シャレてる!うん、みんな思ったよりスムーズね。残ってるのは、再考の爆豪くんと飯田くん、滑空さん、そして緑谷くんね」




一通り発表が終わってしまったようだ。
ミッドナイトと目が合い呼ばれ、美鳥はクリップボードにパッと思いついたヒーロー名を書いた。


「次、滑空さんね」

「はい、私のヒーロー名は“フェニックス”」

「うん!いいわね、名が体を表しているわ」


「かっこいいな!滑空!」

「うん!とっても美鳥ちゃんぽい!」


漢気溢れるぜ!という切島と次の発表を待つ緑谷にありがと、と笑顔を向けると席に戻った。
次の順番であった緑谷が教壇に立ち、クリップボードを向ける。
そこに書いているのはもう一人の幼馴染が彼につけた、蔑称“デク”の二文字。


「!?」

「えぇ!?緑谷いいのかそれェ!?」

「うん、今までは好きじゃなかった。けど、ある人に意味を変えられて、僕には結構な衝撃で、嬉しかったんだ」


そう言って顔を上げた彼はすっきりとしていて、意味を変えた子は驚いていた。


「これが僕のヒーロー名です!」

「はわ……!」

「ふふ、青春ですな〜」


昔と変わって誇らしげな彼に、美鳥は一番に拍手をした。



(いいと思う!じゃ、いずくんじゃなくてデクくんだね!)

(え!?美鳥ちゃん、それはちょっと、いずくんのままがいいな…)

(え。)

(えっなんで戸惑うの)





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