小説 | ナノ
「馬鹿野郎!!!生きることを諦めろと指示した覚えはねえぞ!!」
「ご、ごめんなさい…」
「俺は麦わら達の緊急手術に入る。ベポ、トリシーと一緒にいろ」
「ア、アイアイキャプテン」
無事、潜水艦へと戻ったがキャスが一部始終をローにチクったせいで、一喝された。
ルフィの容体は深刻なようで、早々にオペに入るロー。
途中、青雉の氷が迫ってきたが、そこは足がつぶされても戦闘員なのでなんとかなった。
―――が、
「わらわのルフィはどこにおる?」
「あ〜、えっとどちら様でしょうか…」
「トリシー知らないの!?七武海ボア・ハンコックだよ!!」
七武海!?それって敵では!?と戦闘態勢をとる。
「…なんじゃ、おぬしらもわらわとルフィの逢瀬の邪魔をする気か…?!」
「え?!ルフィのこと好きなの!?」
「わらわの想い人を呼び捨て!!?おぬし、ルフィとどういう関係じゃ!?」
「え?ともだーーー」
「安心しろ女帝屋、コイツは俺の女だ。
麦藁屋に関してだが、やれる事は全部やった。手術の範疇では現状命はつないでる。
───だが、あり得ない程のダメージを蓄積してる。
まだ生きられる保証はない。」
ハンコックに答えようとしたとき、後ろから手が伸びてきて抱きすくめられ、私の代わりにローが返答した。
「………………!!」
「ロー……、」
ローの淡々とした説明を聞いて、ハンコックの顔が青褪めていく。
ルフィが好きなハンコックには辛い宣告だったのではないかと、静かにローを咎めた。
「それは当然だっチャブル!!!ヒィ〜〜〜ハァ〜〜〜〜!!」
「そうさ麦わらは頑張った!!」
「あいつのお陰で脱獄できた!!」
「うっわ……」
「何だあいつら!!?」
異様に顔の大きいイワンコフと、奇天烈な格好をしたニューカマー達を見て、ハートの海賊団のクルーは引きまくっていた。
ハンコックの説明で事情は分かったが、可愛い女の子が好きなシャチ達は引き攣っていた。
「麦わらボーイはインペルダウンですでに立つ事すらできない体になってたのよ!!
よくもまァ、あれだけ暴れ回ったもんだっチャブル!!!
それもこれも全ては兄、エースを救出したい一心!!」
イワンコフの話を聞いたローは成程と頷いた。
「ところでヴァナタ、麦わらボーイとは友達なの?」
「……いや。
助ける義理もねェ……。
親切が不安なら、何か理屈をつけようか?」
「いいえ、いいわ。
直感が体を動かす時ってあるものよ。
……で、ヴァナタが麦わらボーイを助けたのは船長命令だったからかしら?」
「まあ、それもあるけど…友達を助けちゃいけないのかしら?」
「友達!!!オーケー、そういうのって好きよ。」
「おい待てって!!」
慌てて誰かを呼び止める声がしたので何事かと扉の方を見ると、本当なら立ち上がれもしない筈のジンベエが息を切らして立っていた。
「北の海トラファルガー・ローじゃな。
ありがとう命を救われた……!!」
言われたローは、そんな事を言う為に態々出て来たのかと大いに呆れた。
「寝てろ、死ぬぞ」
「心が落ちつかん…無理じゃ………。
おぬしらのおかげで失うことはなかったにせよ、今回の出来事はわしにとって衝撃がデカすぎる……!!!」
改めて礼を言う。と頭を下げるジンベエに
すると、それまで黙って聞いていたハンコックが電伝虫を貸せと言ってきた。
「九蛇の海賊船を呼べば潜水艦ごと凪の帯を渡れる……!!
ルフィの生存が政府にバレては必ず追っ手がかかる。
わらわ達が女ヶ島で匿おう。
わらわがまだ七武海であるなら、安全に療養できる」
「……貸してやれベポ」
「アイアイキャプテン」
九蛇海賊団の船と合流して、間も無く凪の帯へ入ろうかという頃。
ICUでルフィの様子を診ていたローの元へ、ペンギンがやって来て新聞を差し出した。
「出ましたよ」
「…………」
ローは無言で受け取り、ICUを出て部屋へ戻ってから広げて見た。
ある程度予想はしていたが、ローがルフィを救援に来た事が書かれており、逃走後の生死は不明としながらも手配書が更新されていた。その額3億ベリー。一気に1億も上がってクルーは騒いでいたが、ローはまァそんなものだろうとしか思わなかった。
ぺらりと隙間から落ちた紙を拾う。
ハート海賊団
“科学者”トリシー
2億8000万
ALIVE ONRY
「……目立ちやがって、」
むしろこっちの金額の跳ね上がり方が異常だ。
発行当初からのALIVE ONRYといい、あっちの世界が気になってるやつでもいるんだろう。
エンヴィーとかいうやつも海軍側だったし、諸々知られていると思っていたほうがいいな。
足もやられたことだし、暫く大人しくさせるかと紙を握りしめてローはため息をついた。
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