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最後の轟VS爆豪は、かっちゃんの勝利で終了し表彰式が行われていた。
先ほどまでの涙を引っ込めて、美鳥は引きつり気味に隣を見上げる。
そこにいるのは、一位の表彰台に登っている爆豪勝己。
オールマイトがおつかれさまでした!と噛み合わない締め方をする中、かっちゃんは最終戦の焦凍くんの戦い方が不満らしく、ガルルル!と猛犬よろしく唸っていた。


「美鳥、」


「あ、焦凍くん」


「教師まで一緒に行かねえか?」


表彰台から降りると、焦凍くんからかけられた声に一つ返事をして教室に向かう。


「滑空、」


ごった返す人混みの中から声をかけられ顔をあげると。


「心操くん」

人混みをかき分けてこちらにくる彼に普通科の生徒たちはざわついていて、


「心操、あの子と知り合いなのか!?」

「ヒーロー科、滑空美鳥…!3位じゃん!」

「そういや騎馬戦組んでたっけ…」

「めっちゃカワイー…」



轟はざわつく野次馬に睨みを利かせ、心操はざわつくクラスメイト達に見向きもせず、ずんずんと美鳥との距離を詰めた。


「見てたよ。
やっぱ、すげーわヒーロー科。」


「え?うん?ありがと?」


「でも、」


だからこそ、俺やっぱ諦めない。
俯いて、泣いているような仕草から一遍。顔を上げて私を見据える。


「――――そっか、
待ってるよ」


その目がきらきらと夢を追いかけていたから。
嬉しくなって笑みを返した。


「!おう」


ヒーロー科のバトルを見て興奮したのかな、薄っすら紅の挿した顔でぐっと前を向くと「絶対諦めねえ」と言い残し、普通科の生徒達の波に消えていった。


「…おいあいつ騎馬戦、組んでた奴だろ?知り合いなのか」


「んー、騎馬戦中に知り合ったの」


その言葉を聞いてハッ!としたように、あいつと組みたかったのか!?と美鳥に詰め寄る。


「違うよ。彼、洗脳の個性持ちで、あの話しかけられた瞬間に洗脳されたの。」


「そうだったのか」


なんだか少ししょぼくれているような、吹っ切れたような、そんな顔をした焦凍くんにいずくんとの勝負でなにかあったの?と問いかける。少し目を見開いて、そう見えるか、と呟いた。


「……あの2人は、容赦ないからなあ」


「お前もだぞ」


「ええ!?」


「昔、お前に言われたことと同じようなことを緑谷に言われた。“エンデヴァーじゃない、君の力だろ”って」


「あ、それは確かに思ってたわ」


さすが幼馴染、3人そっくりじゃねえか。という焦凍くんに、そうかも。と笑う。


「明日、母さんに会ってみようと思う」


「!そっか、たくさんお話できるといいね」


ああ、と笑う焦凍くんがいい方向に向かうよう願った。





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