小説 | ナノ
滑空美鳥対爆豪勝己の準決勝が爆豪の勝利となり、ボロボロになったフィールドをセメントスが直す間の小休止、緑谷達は医務室まで走った。
「緑谷待てって!俺も行く!」
「ウチも!」
ついてくるA組の面々など御構い無しに緑谷は階段を駆け下りる。
「美鳥ちゃんが負けたってことは、ヒーローの夢諦めちゃうかもしれない…!僕、そんなの嫌だ!」
「宣戦布告の時、爆豪がつけた条件だよな…!」
「美鳥が雄英やめちゃうなんて、あたしだって嫌だ!!」
爆豪がなんて言ってくるかわからないが、とにかく止めなければ!と3人は走った。
「美鳥ちゃん!!」
医務室の扉をバンッと開ければ、早々に治癒は終わったらしく美鳥は意識を取り戻してベッドに横たわっていた。
その隣には爆豪がいて、状況を理解したらしい彼女はぐずぐずと泣いていた。
「……おい、そろそろ泣き止めや」
そう言いつつ心配そうに覗き込む彼は昔と変わっていなくて、緑谷は目をうるうるとさせながら爆豪が座る逆側の隣に座った。
「だって、だってぇ、負けたぁ〜!」
「美鳥ちゃん、」
「うわぁ〜!いずくん!!やだよぉ、ヒーローなりたいよ!」
「うんうん!僕もかっちゃんに交渉するから!」
「あ!?誰が誰に交渉するってェ!?」
誰がテメーの言うこと聞くかァ!!とブチ切れる爆豪。
「でも、かっちゃ」
「許したらァ」
「「え?」」
説得しようとした緑谷の言葉を遮ってぽつりと爆豪が呟く。
「俺のそばから離れず戦うってんなら許したるっていってんだよ。」
「まさかの条件付き…って、かっちゃんそれ美鳥ちゃんといたいだけーーーブフォ!?」
「こいつが危なっかしいからだってんだよ!!端からテメーの説得なんて必要ねーんだよ!!クソデク!!」
「やった…!ほんと!?かっちゃん!やったー!!」
爆豪の心理を読んでしまった緑谷が余計なことを口走って爆破される中、負けたのに許してもらえたと喜ぶ美鳥。
「俺のそばから離れないって条件付き、だって、いってんだろうがーーー!!!」
保健室に爆豪の怒声が響き、リカバリーガールにしこたま怒られた爆豪だった。
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