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「といっても…これは私が行かなくても大丈夫そうな雰囲気…」


ルフィを治療する準備に取り掛かったロー達を護衛するジャンバールとキャスと私。
ただしルフィが危なければ私だけ特攻が許されていた。
どうやら白ひげの親父様が全力でルフィを援護してあげているようだ。



「いや!トリシーやべえぞ、あいつ…"鷹の目"だ!」


「鷹の目?」


「鷹の目ミホーク、世界最強の剣士だが…知らんのか?」


ルフィの行先に見える、大きな黒刀を持った眼光の鋭い人の事だろう。
気配がそんじょそこらの人とはまるで違う。
確かにキャスの言うようにこれは助けに入らないとまずいかもしれない。



「じゃあちょっと行ってくるわ」


「世界最強の剣士だからな!気をつけろよマジで!!」


「わかったわかった」


お前が怪我するとキャプテンに怒られるの俺なんだからなー!?!とキャスの怒りを背後に船を飛び出す。最早乱闘状態だからか私の接近に気付くものもそうおらず、すぐに目的地に到達できた。



「麦わら…!!」


「避けな麦わらボーイ!!鷹の目だ!!」


「っ!!?」


鷹の目に気づいたイワンコフがルフィに叫ぶが、間に合わないと思ったその時。



「ルフィに手を出されちゃ困るのよね…!!」


ガキィ!!!
鷹の目の一太刀を止めると同時に、避けきれなかった風圧で頬が切れる。
なるほど、確かに凄まじい威力と速さだ…


「!何者だ貴様…!」


「トリシー!!」


「あれはハート海賊団の"科学者"…!?一体麦わらボーイとどういう関係…!?」


「ここは任せて先に行きなさい!」


ありがとう!!と去っていくルフィを流しみて鷹の目に向き直る。


ガンッ、キィン!!

「余所見をするな、ここは戦場だぞ…!!」


「嫌ってほどわかってるわよ、そんなこと(隙が全くない…恐ろしい男ね、防戦するのが精一杯だわ)」


「すげえあの女、鷹の目に張り合ってるぞ…」


「ふん…やるな、ハート海賊団と言ったか?戦闘慣れしておる…」


「それはどうも!」


どうやって鷹の目から逃走するか考えていると、処刑台が炎で埋め尽くされる。



「!間に合った…!」


ボボボッ!!と燃え広がる炎は、周りを蹴散らしながらこちらに向かってくる。


「きゃっ!」


「トリシー!まさかお前まで来てくれてるとはな…!」


炎の中から這い出た手に引っ張られ、鷹の目との戦闘から離脱する。



「エース!無事でよかったわ!」


「ルフィを助けてくれたんだってな、ありがとよ!」


「いいえ、でもルフィももう限界ね。」


エースの肩に乗って、ぜぇはぁと息切れるルフィを見やる。


「ああ…あとはどう逃げるかなんだが、」


「あ、それならルフィなら任せて。元々そのつもりだったから。」


「!いいのか…?」


「ええ、それよりエース達こそ帰り大丈夫?」


なめんなよ!と言って潜水艦の近くに降ろそうとしてくれるが、大将達や海兵の邪魔が入りなかなかたどり着けそうにない。


≪…ガッ、ガガ…い、おいトリシー。状況を伝えろ、どうなってる…!?≫


「!ロー、今エースを救出してルフィと三人で逃げてるところ!ルフィの容態が危ないの、どうにか出来るわよね?!」


≪ああ、任せろ。船まで来れるか?≫


「んー…ちょっと厳しいけど…、(転送ワープを書くには時間が足りないし)ルフィだけでもなんとか飛ばしてみる!」



電伝虫でローと会話しながら、片道ならと思考を巡らせる。
エースの炎で見えないうちに材料をかき集め、片道ロケットを錬成し、ルフィにくっつける。


「じゃあエース、いち、にの…さんで発射するから逃げる準備はいい?!」



「うっほぉ!!すげえなんだそりゃ!!ロケットか!?」


「こら!今はそれどころじゃないでしょ!」


「そうだったそうだった、つい!悪ィな!いいぜ!」


「それじゃ、行くわよ!
いち、にの…さん!!!」


ドヒュッ!!!と音と共にハート海賊団の潜水艦目掛けてロケットを発射し、私はその援護に着く。
一方エースは自分が狙われてるのを承知で、二手に別れた。


「なんか出たぞ!!」

「ロケットか!?!」

「いや待て、火拳はあっちだ!」


上手く錯乱されてくれる兵達をみて、ローと連絡を取る。


「ロー!!飛んでるからよろしく!」


≪ああ!任せろ!!ペンギン!≫

≪大丈夫です!浮上します!
艦橋から総員!浮上する、掴まってろ!!メインタンク・ブロー!!≫


指示するペンギンの声を聞きホッとしたのも束の間、やはりロケットは目立ったようで何人かの目がこちらを向いていた。


「ハート海賊団"科学者"トリシー・エルリックです!以前大将をも退かせたその力は未知数!!麦わらとともにロケットで滑空しています!!」


「ッチ、さすがにバレたか!」


逃がさないよぉ〜!と追ってくる黄猿を後ろにスピードを上げる。


「!!(速い…っ)くっ!」


「待ちなよ〜!科学者!!」


しかし、ロケットといえど相手は光速。黄猿が後ろから攻撃を始め、その防戦一方になる。


「(このままじゃ…ロー達にまで被害が…!)くぅ…!そこの人!!」


「えっ、俺ェ!?!」


「その持ってる人も重傷よね!?この子もお願い!!」


「えっ!?ハァ!?麦わらァ!?!うォい!!アマ!!ふざけんな!!なんで俺様が…!!」


「じゃあ貴方があの人止めてくれる!?」


「ヒェッ黄猿ーーーー!?!
滅相も無いです!!お願いします!!!」


能力で浮いていた赤っ鼻の人にルフィを投げ渡し、ローの元に運ぶよう言って、黄猿に向き直る。



「麦わらはもちろん君も逃がさないよォ〜、トリシー・エルリック」


「ふふ、光栄ね名前を知ってもらえるなんて」



ルフィ達ロケットを抱えて空中にいたバギーは、トリシーに教えられた潜水艦を探し向かう。


「麦わら屋をこっちへ乗せろ!!!」


「ム・ギ・ワラヤ〜〜〜〜!?
あァ!!?てめェ誰だ小僧!!」


「麦わら屋とはいずれは敵だが、悪縁も縁。
こんな所で死なれてもつまらねェ!!
そいつをここから逃がす!!!
一旦おれに預けろ!!!
おれは医者だ!!!」


「!てめェがあのアマの言ってたヤツだな…ほらよ!!」


突然現れた船を双眼鏡で確認した海兵は、驚いてつい声が大きくなった。


「トラファルガー・ローです!!!
北の海のルーキー!!!
先日シャボンディ諸島 "天竜人の一件" にて取り逃がした、麦わらのルフィと共犯の海賊!!
潜水艦で救援に来た模様っ!!!」


海兵が報告したため船が近づいてくるが、なんとか大砲を避ける。
渡されたルフィとジンベエを受け取ったローはペンギン達に任せ、話を続ける。


「女はどこだ?」


「あ?」


「金髪に緑の目をした女が麦藁屋を抱えていただろう…?!」


「ああ、あのアマなら黄猿と戦闘中だ!」


「黄猿ーーーー?!!」


話を聞いたキャスはその名に震えるが、ローに命令されトリシーを迎えに行くことになった。


「いいかキャス!無茶はするな!やべェと思ったらトリシーの能力を使ってでも逃げてこい!!」


「え!?でもキャプテン、トリシーの能力は内密にする予定じゃ…!」


「そんな余裕がねェと思っての話だ!頼んだぞ、キャス!キャスとトリシー、全員揃ったら潜水して逃げる、いいな!?ペンギン!」


「「あ、アイアイキャプテン!」」


キャスが迎えに来るまであと数分。



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