小説 | ナノ





「ここに来るのも久しぶりね…

真理」


カツ、と何もない空間にヒールの音が響き渡る。


「やあ、随分大きくなったじゃないか」



あの頃、罪を犯した時と変わらず扉の前に佇む黒い影が私に笑いかける。


「彼はいないのね」


「あいつはこちらの人間じゃないからな
心配せずとも先に行ってるだけさ」


「別に心配なんてしてないわ

ところで、あたしをあの世界へ飛ばしたのは貴方じゃないわね?」


きっと今頃私がいないことに、内心動揺しているであろう彼を思うよりも先に、確かめたい事があった。


「そうだね、俺にとってはなんのメリットもデメリットもない」


「…でも、話す気もないと」


「それこそ等価交換だろう?まぁ俺はどちらでもいいがね。


さて、本題に入ろうじゃないか。
ここを通るなら等価交換だ
あいつの分も置いていけ」


「彼の分も?まぁいいけど…
さぁ通してもらうわよ」


向こうから来る時にもらってきた紅く光るソレと"向かう世界のモノ"を投げる。


「っはは!正解だ!!さぁ通りなよ!」


「ええ、次回来る時は世界の壁を壊しに来るわ」


「!っく、アハハハ!!そうか、楽しみにしてるよ」


真理の笑い声を背に扉の中に身を投じた。









真理の扉を抜け、世界を超え、
真っ白な空間を通り抜ける


すぽんっ!!と抜け出した先は大海原だった。



「っは〜!!久しぶりの海だ〜〜!!」


落ちていくのも気にせず、太陽に照らされた海原を見ていると不透明な膜に包まれる。



「"Room"」


「せっかちなんだから」


「シャンブルズ」



真下に見えた黄色い潜水艦に乗るローに引っ張られる。



「遅ェ」


「あははっ、ごめんただいま〜」


「トリシー〜!!」


「「姐さ〜〜ん!!」」


ローの腕に抱かれていると、みんなからおかえりと声がかかる。


「俺とだいぶタイムログに差があったが…何をしてた?」


「ああ、ちょ〜っと真理に喧嘩をね、売ってたの(笑)

次は世界の壁ぶち壊しに来るからって


「「姐さんかっこよ!!!」」


「ったく、まぁいいが。あの男との事は許してねぇぞ」


「え…んむ、」


ちゅ、とハボックのキスを消すように唇を食される。


「っは、さてアイツとの仲を詳しく話してもらおうか?」


「その前に!!キャプテン、先程話していた進路について決めさせて下さい!先に!!」


「ッチ、早く済ませろ」


しょうがねえとペンギンと話し始めたローを横目に、空を見上げた。


「"閉ざされし扉の先、通りたくばその世界の物と己の叡智を捧げよ"…ね」


「トリシー?どうかした?」


「んーん、別に〜」


ベポに笑いかけて、新たな旅に向けて私は向かう。






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