小説 | ナノ
エドを説得し、無事帰り方を教えてもらえた。
向こうに残した仲間の安否も気になるので早々に準備をする。
「準備できたから帰るね〜…って、ええ?!なにこれ?!」
「姉貴はあっさりしすぎなんだよ。姉貴のこと伝えたらみんな来てくれたぜ」
準備が終わってドアを開ければ、すごい人だかりが出来ていた。
どうやらみんな見送りに来てくれたようだが、人数の多さから若干顔が見えない人もいる。
「こりゃ!トリシー!ちゃんと挨拶くらいしていかんか!」
「うわっ、久しぶりピナコばっちゃん!」
「ほんとだよ!連絡付かないってきいてすっごい心配してたんだから!」
「え?!も、もしかして、エリシアちゃん…!?」
「そうだよ!お姉ちゃん!お母さんも心配してたよっ!」
「ごめんごめん。それにしても…大きくなっちゃって…、グレイシアさんに似て美人になったね」
列から飛び出してきたピナコばっちゃんとエリシアちゃんとお話をする。
ヒューズの面影を若干感じるが、グレイシアさんに似て美人に成長したようだ。
ヒュオッ…!!
「トリシーッ!!」
「え」
ドゴォ!!!
「ふん、鈍ってはいないようだね。バカ娘」
「あ、あっぶな〜!!イズミひどーい!」
先程まで私がいたところにはイズミによって大穴があけられている。容赦ない威力にローが私の名前を叫んだ程だ。
「酷い…?酷いのはどっちだい?!
旅に出たと思えば行方不明、連絡もつかずフラッと帰ってきたと思えば顔も出さないとはね!」
「うわっ、ご、ごめんってば!」
ガンッガンッ!!と容赦ない蹴りを繰り出してくるのを避けてイズミに謝る。
その後もわらわらと列から飛び出てきた昔馴染みに挨拶を繰り返していった。
「トリシー、時間がねェ」
「あ、そうだね。粗方挨拶したし、もういないでしょ。
じゃあ、みんなお世話になりました!
必ずこっちに戻る方法も探してくるから!」
「姉さん!約束だからね!!」
「帰ってきたら面出しなよ!」
「次の子供は抱いてくれよな!」
「ちょ!エド!?何言って…!」
みんなが最後の掛け声をかける中、ハボックの姿が視界に映る。
「トリシー、」
「?ハボック…?…どうしっ…ん!?」
意味深な目線を感じて近寄ると、一気に距離を詰められて唇を奪われる。
「ねっ、姉さぁん…!」
「えっ!?なに?アルフォンスさん!見えないよぉ〜!」
「ヒュ〜!やるねぇ!」
「少尉…やりやがったな…」
見ていた大勢がそれぞれの感想を述べる中、驚きでハボックの胸を突き飛ばす。
「ッ、ジャン!何して…!!」
「ッフ、漸く呼んでくれたな。まぁ長い船旅のネタにでもしてくれや、愛してるぜ。
託したぞ、トラファルガー。」
「…ッチ、言われなくてもわかってる。
トリシー!!」
「っわ、はい!」
完全に怒ったであろうローに手を引かれて、帰るための錬成陣を起動させる。
「じゃあみんな!元気でね!」
その言葉を最後に懐かしき風景に目を閉じた。
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