小説 | ナノ




爆豪との言い争いの後も美鳥はいつも通りで、
雄英体育祭当日を迎えた。


「がんばれよ〜!お父さん応援してるからな!!家で!!」

「うん!がんばるよ!いってきまーす!」




―1-A控え室。


「おわ、」

「、わりぃ」

準備に少し手間取って遅れて控室に入ろうとすると、ちょうど出てきた焦凍くんとぶつかりそうになった。
一言謝るとそそくさと先を急ぐ焦凍くん。


「…なんか最近みんなピリピリしてるなあ」


「ちょっと、美鳥!今すごかったんだから!」


「えっ、なに耳郎ちゃん」


入口で棒立ちしていると興奮気味の耳郎ちゃんに引っ張られた。


「轟が緑谷に宣戦布告したんだよ!」

「え!焦凍くんがいずくんに!?」

「そう!轟が緑谷にお前には勝つって宣戦布告したんだよ。緑谷もそれに応えてた」

「なんだろ…なんか二人とも珍しいな…。焦凍くんがピリついてるのもあるのかな」

「あいつらだけじゃねーだろクソチビ」


え?と振り返る前に以前のように胸倉をつかまれる。
言わずもがな、かっちゃんである。


「ぐえ、」

「ちょっ、爆豪!」

「いい機会だ、ここで白黒つけてやる。てめーは弱いンだから後ろでピヨピヨしてりゃいいんだよ、小鳥ちゃんよォ!」

「っこないだからなんなのかっちゃん!今更夢を諦めたりしないんだから!」

「じゃあ勝負だ、俺が勝ったら諦めろ」

「は………、なにそれ、本気でいってんの…?」


なんだかんだ緑谷よりは爆豪と仲が良いと思われていた美鳥だが、それは美鳥が爆豪を前にしても明るく笑っているからである。そんな彼女から想像がつかないような威嚇した目で爆豪を見上げると、爆豪も、たりめーだろ、と返す。


「私、絶対、負けないから。」


「ぜってー負かす。約束破ンじゃねえぞ」


「ハァ…?じゃあ私が勝ったら二度と話しかけないで」


「は」

「美鳥ちゃん!かっちゃん!!もうやめて!」


「ふん、」


「あ…!美鳥!」


まさか話しかけるなとまで言われると思っていなかった爆豪は固まり、緑谷が止めるまでもなく終了したあと美鳥が轟同様に部屋を出て行ったことで終わった。


「こっちでも宣戦布告かよ…」

「緑谷止めるの遅かったんじゃねーか?」

「ご、ごめん・・・」

「いやあ、あれは間に入れないっしょ…美鳥大丈夫かな」

「爆豪もなんか本気というか、滑空に対してはすごいよな」

「こないだも胸ぐら掴んでたもんな」


固まってしまった爆豪を励ますのは切島と瀬呂に任せ、緑谷と耳郎は心配そうに目を合わせた。






そして始まる体育祭――――


《雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る、年に一度の大バトル!!》


プレゼントマイクの実況が大きなスタジアムに響き渡る。


《どうせてめーらアレだろこいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!ヒーロー科、一年!!A組だろぉぉ!?》


とうとう雄英体育祭が開幕した。
爆豪の他の挑発する選手宣誓後、第1種目が障害物競走に決まった。
それぞれがそれぞれの思いの中で、スタートラインに立つ。

そして、


「スターーート!!!!」


第1種目目が始まった。
狭いスタートゲートに密集した彼らに轟の氷が地面から襲いかかる。

バキバキバキ!!!


「焦凍くん…!開幕早々かぁ…!!」

間一髪氷結を避けた者たちは一歩リードした轟を追いかけた。
が、そこに障害物が現れる。


《さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門、ロボ・インフェルノ!!》

「入試んときの0ポイント敵じゃねぇか!!」

「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」

「多すぎて通れねえ!!」



が、轟はひるまなかった。
一撃で敵を凍らせると、足早に通り抜けていく。
それに加えて、仮想敵を崩したことで後続への妨害もした。


《1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!すげえな!!一抜けだ!!アレだなもうなんか…ズリィな!!》
轟が一抜けし、周りがそれに続く。


「先行かれてたまるかよ!!!」


《1-A爆豪!下がダメなら頭上かよー!!クレバー!!》


爆風で上を超えた爆豪をみて、美鳥は、


「これ、私結構有利だね…!」


ボッ!!
バサッ!!

背中から炎の翼を出して、軽々と敵を飛び越えていく。



《また1-Aかよ!滑空美鳥!!炎の翼で軽々飛んでいきやがる!!目立つねェ!!》



仮想敵の後はザ・フォール、綱渡りだった。
個性を使って渡っていく前2人を見て、お先!!と上を飛んでいく。

「は」

「あァ!?」

《ここで先頭が変わったー!!制空権は我にあり!ってかァ!?これもアレだな…!ズリィ!!!》

「ずるくないーー!!」




そして最終関門、一面地雷原だった。



「よっし!私関係な…」

「はっはぁ俺は!関係ねー!!!」


爆風とともに追いついてきたのは爆豪だった。



「てめェ俺より前に出るんじゃねー!!」


ボンッ!!!!

「うわっ!?」


体当たりよろしく突っ込んできた爆豪を急いで避けると、今度は爆豪が先頭に躍り出る。

《喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だああ!!》


「おいお前ら待て!!」

「焦凍くんまで!もう早いよ!」


パキパキと道を凍らせながら轟が追い付いてくる。
三人並んだ!と会場はざわめいた。


《全員1-Aじゃねーか!!つーかお前のクラスなんなの!》


後続との開きからしても、この中の誰かが一位になるだろうと誰もが確信していたが、それを覆す大きな爆発音が後方で起こり、三人はその大きすぎる音にゾッとし後ろを振り返った。


《後方で大爆発!?なんだあの威力!?偶然か故意かーーーA組緑谷爆風で猛追ー!?!?》


爆風に乗って、緑谷が迫る。


《っつーか!!抜いたあああー!!!》


「いずくん!!?」

「デクぁ!!!俺の前を行くんじゃねえ!!!」

「後ろ気にしてる場合じゃねぇ…!」


《元先頭の三人!足の引っ張り合いをやめ、緑谷を追う!!共通の敵が現れれば人は争いを止める!争いは無くならないがな!!》

《何言ってんだお前》


上空を飛ぶ緑谷を追いかけるように三人走るが、着地寸前の彼がくるりと前転し、持っていた板を地面に叩きつけたことで##はしまった、と顔を歪めた。

咄嗟に翼で急上昇し、爆風から一気に遠ざかるだけでなくその爆風を利用して前へと飛ぶ。


ードオオオン!!


《緑谷間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原即クリア!!イレイザーおまえのクラスすげえな!どういう教育してんだ!》

《俺は何もしてねえよ。やつらが勝手火ィ付け合ってんだろう》


視界が開けて地雷原を抜けた。
懸命に先を走る緑谷を追いかけるが、結局追いつけず2位に落ち着いた。


「…うう、いずくんに負けた」

「た、たまたまだよ!偶然が重なったラッキーみたいなものだ」

「緑谷もすごいけど、美鳥もすごいよ!2位じゃん!」


有言実行!爆豪に勝ったじゃん!と笑ってくれる耳郎に、いや総計だからまだかな。と冷静に返すと、次はブッコロス!!と野蛮な声が後ろで聞こえた。






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