小説 | ナノ




バチチチチッ!!!


赤い火花を散らせて行われる錬成。
それは初めて目にした時から、変わらぬ禍々しさを持つ光景だと思う。


だが、



「聞いてない聞いてない…

聞いてなーーーーーーいッ!!!!」



「喋ってねェで手ェ動かせ!」


「動かしてますーーー!!」



私は賢者の石から錬成された、数台のガトリングガンの猛撃から身を守るため、壁を錬成し続ける。
ローは私の錬成を邪魔されないように、同様に賢者の石で錬成されたであろう合成獣の相手。




「賢者の石は渡さんぞ!!軍の犬め!
さっさと出て行け!さもなくば大事な息子が死ぬ事になるぞ!!」


「あらら、やっぱり勘違いしてる…
エドは何やってんのかしら…」



いい感じで突入して雑魚を蹴散らして来たというのに、本命が出てきたら防戦一方。
何故なら、目に映る大量の賢者の石。



「ッロイのバカー、あんなにあるなんて聞いてないわよ!」


「で、どうする?この八方塞がりを」



「んー、どうにか出来ないことはないわよ?
そうね、そろそろ…


軍の犬じゃなくて、猛獣だってこと教えてあげましょうか」


準備はしてきた。
体勢を整えて、いざ!!

と思った瞬間だった。




「だーーーれーーーがーー…!

息子と勘違いされる豆粒ドチビかーーーー!!!」



「なんだ、わかってんじゃない………


!!!?!エドがでかい!!!?」



「あんだとコラァ!!!…って、


姉貴!!?!」



バリィイン!!!とお決まりの台詞と共に出てきたのはご存知、私の弟エドワード・エルリック。
てっきりドチビな為、息子と勘違いされて捕まったと思ったが、私のいない間に伸びたのか目測およそ170センチ超えである。








「な!?お前がエドワード・エルリック!?

すっごいドチビだって聞いてたからてっきり息子だと思って捕まえたのに…!!」


「てめーーー!!いい加減にしろよコラァ!!!再三、エドワードだって言っても信じねーで!!」



「なるほど…そういうことね」


捕まってた部屋を抜け出してきたであろう、エドはなかなかボロボロの状態で主犯に食いかかる。
そんなエドに主犯はガトリングガンを向ける。



「計画と狂ったが、まぁいい!
目的はエドワード・エルリックの抹殺!!
人質なんぞいなくても、錬金術のないお前に負けはせんわ!!!」


「ッチ…!ヤロウ!賢者の石を…!!」



「エドッ!!!危ない!!」


錬金術を使えないエドは、向けられたガトリングガンにたじろいだが、即座にエドの前に立ち壁を錬成して防ぐ。



「っ助かったぜ、姉貴!」



「全く、無茶しないの…!ほらコレ武器。」



とりあえず作った壁に隠れて武器を渡す。
すると主犯がガトリングガンの向きを変えた。




「バカな女め!お前さえいなければ錬金術を使えないその男なんぞ消し飛ばしてくれる!!」



「あら」


「っおい!どーすんだよ姉貴!!あの人が…!!」



どうやら私だけが錬金術を扱える事を理解し、守る術を持たないローに照準を合わせたらしい主犯。
まぁこの世界ならば妥当な考えである。

"この世界ならば"…ね。



「生憎と、私のダーリンはそんなに甘くないわよ…!!」



「ハッタリを…!!!」


私の言葉を無視してローにガトリングガンを浴びせる。

ドドドドドドドド!!!

ガキキキキキン!!!




「「な、何ィーーーーーー?!!?!」」



「素人か?照準がまるでなってねェぜ?」



全ての弾を刀で弾き落としたローを見て主犯とエドが目を見開いて驚く。



「な、なんなんだ…人間業じゃない…!」


「まぁ…その辺はお互い様よね…
さぁ、そろそろ終わりにしましょ」



「そうだな」


ローは刀を担ぎ直し、私も準備を整える。



「…っくそ…!こうなったら…!!くらえ!!」


ジャリッ!と大量の賢者の石を一掴みすると私達に向かって投げ、錬成する。
錬成されたそれは、先程大量に相手した合成獣と変化する。



「いくら強くとも数が多ければどうにもなるまーーーーー!」


「Explode(爆発せよ)」


ボンッ!!!


「ーーーーは?」


合成獣を1匹爆発させ、放心している主犯を横目に指差してどんどん爆発させる。




「Questing Beast(唸る獣)」


ボンッ!!


「Girtablulu(ギルタブルル)」


ボンッ!!!


「そ、そんな…!賢者の石で作った合成獣だぞ…!!?」



「それで?これで終わりかしら?
貴方、私を誰だと思ってるの?」



粗方爆発しつくして、問いかける。



「"玉尖の錬金術師"といえばわかるだろ?
相変わらず、天才はそのままってか?姉貴」



「な!?トリシー・エルリック!?行方不明になっていたはずだろう!?
国家始まって以来の鬼才…指先だけで事を成す天才が…!?」


弟の危機に馳せ参じました〜!と笑う。



「さて


どうするの?」








「ぐ、うう…!!




すみませんでしたーーーー!!!」



「よーし。

アル〜?」


降参した主犯を見てから、顔を上に向けて待機していたアルを呼ぶ。
はーい、と返事をして上から降りてくると、犯人を拘束する。



「連行よろしく!
未来の天才錬金術師殿〜」



「もうっ!からかわないでよ、姉さん!」


「あははっ、相変わらず可愛くて安心したわ。」


残りの残党もロイがどうにか捕まえたようで、エドも無事保護し、中央へと戻った。





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