小説 | ナノ
「では作戦を説明するぞ。
奴らは鋼のを誘拐し、現在ブリッグズ国境付近にいる。」
漸く真面目な話に戻ってきたところで大佐が切り出す。
「やだミラ姐のところじゃない!ハイハイ!私ミラ姐側の隊ね!」
「えっじゃあ僕も姉さんと一緒がいいです!」
「俺ももちろんトリシーと同じ隊で」
「やめんか戦力が偏るだろう!!君ら!!」
私に習って右に同じする、アルとローを見て大佐がキレる。
「ということで、アームストロング少将側にはアルフォンス君を置く。
トラファルガー君とトリシーは一緒に行動してくれ。
拠点は私とハボック、少尉で固める。」
「けちー」
「えーっ!僕、アームストロング少将と2人ですか…!?」
結局不安…といったアルを無視して、大佐は明日までに準備を整え拠点に集合!と言い残しリザと部屋を後にした。
「じゃあ、今日宿も取ってない身軽な私達は先に列車乗るけど、アル、どうする?」
「ほんとは姉さんと一緒に行きたいけど、ウィンヤードもいるし安全な所に預けて明日向かうよ」
「そっか、了解」
「いくぞトリシー」
「あっ!トラファルガーさん!」
私の腰を抱いて踵を返すローをアルが呼び止める。
「姉さんと同じ隊譲るんだから、姉さんのこと護ってね!」
「言われなくても離す気はねェよ」
取り交わされるやり取りを?を浮かべて見ていたら、再度ローに引っ張られて部屋を出た。
「で?どうやって行く」
「なにも言わずにここまで引っ張ってきといてそれ?」
ウルセェ。と呟くローに引っ張られて中央の1階まで降りてきた。
とりあえず武器や列車のチケットを確保したいのよね〜、と何処で入手するか考えていると、
「トリシー」
「あら、ハボック。どうしたの?」
部屋に残っていたはずのハボックが追いかけてきた。
「話聴いてたら、たぶん何も持ってねーんじゃねえかってな。
持ってきたのは銀時計くらいか?」
「まぁ!よくわかったわね。
そうそうどうしようかなーって思ってたトコ。」
「じゃあオレはほら大佐と行くからさ。とりあえずこのぐらいあれば平気か?」
ジャラジャラッと掌に握らされたのはこっちでの通貨で、その上にカシャッと音を立てて鍵が落とされる。
それを目にした私とローの眉間にシワが寄る。
「…ちょっと、」
「今必要なのは?」
「お金」
「…と?」
「………武器、」
「じゃあ文句ないよな?」
ローを彼氏だと紹介したのに、この対応は…。と思ってハボックに見るが、にっこりと笑っている。以前ハボックにした事への仕返しだろうか…
「っもう、わかったわよ。ありがとっ」
「はいよ」
「おい」
観念して渡されたお金ごと鍵を握りしめて踵を返すと、何か言いたげなローが私を呼び止めるが、ここで抜刀騒ぎなど起こしたくないので、行くよ〜!と言って走り出た。
「そう簡単に可愛い同期をやるかよ、
なァ…大将。」
そう言ってタバコを吹かすハボックには気づかず。
「おい、
おいコラ、トリシー
なんださっきのは…!」
「ごめん、ごめんってば
ハボックとは同期で、腐れ縁なのよ。
部屋に入り浸ったりするのもいつもの事だったから…。」
他にも言いたいことはあるだろうけど、とりあえず武器とお金が手に入ったし!と言って手に入った鍵を回す。
「…まぁいい、この戦いが終わったらお前の弟から聞き出すとするさ。」
「ちょっと、可愛い弟脅さないでよ…?」
「さあな、お前次第だ」
ハボックの部屋に入り、それぞれ武器や装備を物色する。
「ヘェ、中々いいもんあるな。」
「ハボックは錬金術使えないしねぇ。だからまぁ武器要員だよね。」
粗方揃ったところで部屋を出て鍵は何時ものようにポストへ入れる。
「じゃあ、向かうとしますか!」
「さて、賢者の石とやら…
どれ程の物かな。」
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