小説 | ナノ
セントラル広場が視界に入った時、
葉隠は思わず足を止め戦慄した。
「っ……、そんな」
多くのヴィランを足止めしてくれていた相澤先生は瀕死の状態、主犯格であろう男とその化け物は無傷で緑谷たちが見つかったところだった。
プロヒーローである相澤先生があそこまでやられるなんて、自分たちはすぐに殺されてしまうに違いない。
とっさに止まった足は友人が危機的状況の中、もう恐怖で動かなかった。
(ダメだ、ダメだよこんなの、殺されちゃう…!!)
恐怖に染まった目で、隣を走る二人を静止しよう、と横を向く、が、
一瞬視界に映った美鳥のほうが速かった。
「っいずくん!!!!」
「美鳥!?」
「美鳥ちゃん!?!」
目に見えた今にも危害を加えられそうな緑の幼馴染は、彼女の中では未だ弱く“無個性の彼”なのだ。
殺されちゃう!!という葉隠の叫びにも止まらず、背中に炎の羽を生やして最高速度で化け物の前に躍り出た##は、最大出力で炎を放出した。
「いずくんに、手ェ出すなァア!!!」
焔皇“火焔”
ボッ!!!
ドォオン!!!!!
「ハァッ、ハァ…う、そ」
「いい個性ですね、危ない危ない」
最大出力で炎を放ったにも関わらず、無傷の化け物に愕然とする。
どうやらワープの敵が炎を吸収したようだった。
「対オールマイト用なんだ、傷つけないでくれよなぁ」
そういいながら主犯格であろう男が近づいてくる。
後ろにはいずくんたち、横から男、目の前に化け物
絶体絶命
と、その時だった。
大きな音ともに扉が開き、そこにある人物が現れる。
「もう大丈夫、私が、来た」
平和の象徴の登場だった。
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