小説 | ナノ
お昼休み
「いずくん学級委員長なんてすごいね〜!」
「本当にね…まさかで僕自身がびびってるよ。美鳥ちゃんは0票だけど、誰に入れたの?」
「うん、飯田くんに。」
委員長っぽくない?と二人で笑った。
「滑空さん、デクくん!食堂行かん?ここの学食、クックヒーローランチラッシュが作ってくれるからすんごい美味しいんだって!」
今、飯田くんも誘ってるんだけど、といずくんが仲良くなったお茶子ちゃんから声をかけられる。
「いいの?いくいく!」
「まて美鳥」
即了承した瞬間、焦凍くんが目の前に立った。
「いつも一緒に食ってるだろ」
「いつも一緒だから今日は別の人と食べるんでしょーが」
「ちょ、ちょっと轟くん」
目の前で繰り広げられる夫婦漫才のようなやり取りに思わずイラっとして緑谷が立ちはだかるが、そんな緑谷に麗日が耳打ちする。
「デクくんデクくん、轟くん大事な話があるんちゃうかな?滑空さん行かせてあげよ?」
「え?大事な話?」
「行くぞ」
「え、おわ!?」
「美鳥ちゃん!?」
そんな話をコソコソしている間に、轟が美鳥の手を引っ張り連れて行ってしまった。
もぐもぐもぐ…
「……なあ…怒るなよ、」
「クソ…!かわいいかよ…!許す…!」
黙々とご飯を食べていた私が怒っていると思って、しゅんとする焦凍くんが可愛すぎて思わず秒で許した。
末っ子恐るべし。
ーヴゥーーーーー!!
次のご飯を口に入れようとしたとき、けたたましいサイレンが鳴った。
「えっ?なに!?」
警報と共に聞こえるのは侵入者情報とセキュリティレベルの上昇。
慌てて立ち上がった所を人ごみに押し流される。
「え!?うわっ!?」
「美鳥ッ!」
焦凍くんが手を伸ばすが届かず、
脱出しようと横に逃げるがそこにも人が密集していて人ごみに埋もれた。
「いったい、何が…!」
「あっ!滑空!?」
身動きできない状態でもぞもぞと踏ん張っていると、聞き覚えのある声が耳に届いた。
腰を掴まれ、乱暴にぐいっと引き寄せられたことで誰かの胸に顔がぶつかる。
「うぷっ!」
「あ、悪い大丈夫か!?」
「だ、だれ?あ、切島くん!」
ごめんな、痛かったか!?
と慌てて顔を上げてくれるが、一層人ごみが押し寄せてきて益々密集度が上がる。
「ぐえ」
「美鳥ちゃん大丈夫かよ?」
「上鳴くん!」
上鳴も近くにいたようで、切島はちょうどいいといわんばかりに、潰されそうな彼女を上鳴と挟むように間に入れた。
「踏ん張れよ上鳴…!」
「できっかな…」
この人ごみに負けずに立っていられるだろうか。
思わず顔をひきつらせるが、自分と切島の間で苦しそうにしている美鳥を見て上鳴は気合を入れる。
が、その瞬間間にいた美鳥がスポンッ!と抜け「ん!?」と上鳴は変な声を出した。
美鳥が抜けた方向を確認すると美鳥を抱き込むような形で爆豪が立っていた。
「美鳥に何してやがんだてめェら…!」
「「爆豪!?」」
「かっちゃん!?」
切島と上鳴は驚愕した。
人混みを察知してさっさと逃げた爆豪が戻ってきたことにも驚いたし、美鳥を抱き込んでいることにも驚いた。
恐らく彼はこの子を助ける為だけに戻ってきたのだろう。
「いやいや!誤解!!誤解だって!」
「そうだよ、かっちゃん!切島くんたちが助けてくれたの!」
「美鳥ちゃん関わると怖ェ〜よ爆豪…!」
「あァ!?ならさっさと助けろやコラ!」
早よいくぞ!と自ら道えお切り開いていく爆豪の背を見ながら、
それにしても、爆豪にとってこの子ってただの幼馴染じゃねーんじゃね?
うすうす感づきはじめた切島と上鳴だった。
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