小説 | ナノ




今日は初めての戦闘訓練。
コスチュームも出来上がったのでみんなのコスチュームもお披露目なのである。
かくいう私のコスチュームはホルターネックワンピのような形にニーハイブーツとグローブだ。



「ちょ…!?!美鳥ちゃん!?」


「ん?どしたのいずくん」


「ちゃんとコスチュームの要望書書いた?!」


コスチュームも着終わって外に出ると、すぐ近くにいたいずくんが私をガン見して詰め寄ってくる。


「書いたけど?炎の羽を出せるように背中開けてもらうのと、できたら燃えない生地でって。」

「要望が少ない!!」

「そうかなあ」

「ヒーロー科最こ…ッブヘッ!?」

「ガン見してんじゃねえよ変態ナードォ!」

「かっちゃん!?ガン見してないよ!」

私のコスチュームを見ながら“ヒーロー科最高!!”そう叫ぼうとした峰田君を
デクゥ!てめえもこうしてやろうか!?ああん!?と言いながらギリギリと引き絞るかっちゃん。


「テメーもいいから変更しろや!!」

「ええ…横暴な」

何故他人にとやかく言われなければならんのだと思っていると、肩にふわりとタオルが乗せられる。

「美鳥、俺も心配だから変更してくれ」


「焦凍くんまで…わかった今度考え直すよ…」

「焦凍くん…!?」

「クラス1のイケメンが名前呼び…!?」

焦凍くんのしたことでザワリとなったクラスに目もくれず、私の返事を聞くと俺ので悪いなといって持ち場に戻っていった。


「美鳥ちゃん!?今のどういうこと!?氷の人…、轟君と知り合いなの!?」

「え?うん。同中」

「同中…!!?」

あいつもブッ飛ばす。と物騒なセリフがかっちゃんから聞こえたがいつものことなのでスルーすることにした。


先生に呼ばれ集まると、初めての対人戦闘訓練は、ヒーローと敵に分かれて2対2で戦うチーム戦だった。
始まった1回戦は、自分の幼馴染対決。


「制限時間は15分、核の場所はヒーローには知らされず奪還。もしくは確保テープか〜。」

「それにしても役とはいえ、かっちゃんが敵役かぁ」

似合いそうだと笑っていると幼馴染って言ってたもんねと耳郎ちゃんに笑われる。
会敵後かっちゃんの初撃を避け一撃食らわせたいずくんを見て、思わずおお!!と声が出る。


「やるじゃん!緑谷!」

「すご…、いつものいずくんと違う…!」


クラスメート達は耳で2人の会話を聞きつつ、視線はカメラに釘付けである。
何を言っているかは聞こえないが、どんどん2人の表情と攻撃が白熱していく。

そして、爆豪が右手の籠手についているフックに指を掛け、引っ張った瞬間、大きな爆発が緑谷を襲った。
私達のいる建物もぐらりと大きく揺れる。



「オイオイ…!授業だぞコレ!」

「緑谷少年!!」

「美鳥ちゃんの幼馴染やばくない!?いつもあんなんなの!?」

「いやいや…!あそこまでは初めてだよ!」


そもそも今まではいずくんに反抗の意思がなかったから激化していなかったのだろうが
いずくんも目を見張るような成長ぶりだ、かっちゃんにおびえるようなあのいずくんではない。


「いずくん…?(急にかっちゃんに張り合うなんて、なにかあったのかな)」

「先生っ、止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ。殺しちまうぜ!?」

「えっ、と、止めないでください!」


切島がオールマイトに進言したのを見て美鳥は慌てて2人の前に飛び出した。


「は!?なんでだよ!?お前だって心配だろ?」

「もちろん心配だよ…!でもいずくんがあそこまでかっちゃんに必死に食らいつくの初めて見る…。」


このまま戦わせてあげたいと思うのは間違いかな…?と二人に伝える。


「な、なるほどな…漢らしいじゃねえか!!」

「気持ちはよくわかるが、私も先生だ。危なくなったら止めよう。」


確かに切島の言うことにも一理あるが、オールマイトは美鳥の言葉に酷く共感した。
その後かっちゃんにクギを刺しつつも授業を続行する。

オールマイトからの注意を受け、2人の戦いは接近した肉弾戦になり始める。


「目くらましを兼ねた爆破で軌道変更。そして即座にもう一回…考えるタイプには見えねえが、意外と繊細なんだな」

「あ〜、そうなんだよね見た目に騙されるんだけどね(笑)」

「感性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね」

「才能マンだ才能マン。やだやだ」

「でもこれ、リンチだよ!テープを巻きつければ捕らえたことになるのに!」

「ヒーローの所業に非ず」

「緑谷もすげえって思ったけどよ、戦闘能力に於いては爆豪は間違いなく、センスの塊だぜ」


焦凍くんの意見に笑って答えるとみんながここぞとばかりに話し始める。
そんな中、目の前の戦いはどんどん白熱していく。


「すごい仲悪くなってるなあ…」


確かに最近2人に会っていなかったけれど、知らないうちになにかあったのだろうか?


「ヒーローチーム…、ウィーーン!!」


「っ!」

「美鳥!?」

正直かっちゃんが勝つと思っていたが幼馴染対決は、いずくんの勝利で終わった。
すべてを出し切って倒れたいずくんより、すべてを失ったようなかっちゃんの顔に耐え切れず走り出していた。


「かっちゃん!!」


「…」

ぼおっといずくんの倒れた場所を見ながら立ち尽くすかっちゃんを抱きしめる。
言葉は必要ない、ただただぎゅっと抱きしめる。



「…お前は、…知ってたんか」

「?なにを」

「あいつが個性持ってたこと」

「まさか!私だって無個性のいずくんだと思ってたよ」

「クソッ、あいつ隠してやがったのか…今まで騙してやがったのかよ…!」

「かっちゃん、」

「あ…?」

「こっからだよ、まだ入学したばかりだもん
私たちはこっから強くなる。そうでしょ?」

「!…そうだな、
てめーは負けんなよ、美鳥」

あったりまえじゃん!といいながら笑いあうと、オールマイトの大きな咳払いが聞こえた。

「「あ」」

「つ、次進めていいかな?少年少女よ」

「ッチ!!」

「すみません!今戻ります!!」


戻ると何故か室内の気温が急激に下がっていて、次が順番の焦凍くんが凄まじくピリついていた。






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