小説 | ナノ




―雄英入試当日―


「あ、かっちゃん!」

「きたな。いいか、ぜってー受かれ。」


校門前で見覚えのある薄い金髪を見つけ声をかけると
久しぶりの再会だというのに、言うことは済んだと先に会場へ入っていった。


「相変わらずだなあ…」

「美鳥ちゃん!!」

「お!いずくん」

「ひひひ久しぶり!な、なんかすごいかわいくなったね…!?」

「あはは、ありがと!いずくんも相変わらずだなあ」

「も?」

「ううんなんでもないよ。今日はお互い頑張ろーね!」

「う、うん!!」


中に入り説明を受けた後、実技試験会場へと着く。どうやら、幼馴染2人とは別れたようだ。
試験内容は、仮想敵ロボットを行動不能にすることでポイントを加算していくシンプルな試験。

ここまでに轟家で鍛錬の日々を過ごしてきたのだ。
私ならやれる…!そう心で呟いて走り出す。

ズドドッ!!

近くにいた敵ロボットに炎の翼を飛ばして瞬殺していく。

「よいしょっ…っと!!(いける!当たり前だけどエンデヴァーを相手にするよりずっと楽だ!)」


その後も次々と壊していくと、突如警報が鳴り、お邪魔虫の0ポイント仮想的ロボットが現れる。

ヴィ―!!


「いやいやいや…!!規格外でしょこのでかさ…!!!」

でかさに驚いて足を止めてしまったが、そうだこいつは0ポイントだったと思い出し、踵を返そうとしたときだった。


「うわあ…!!」

「ちょ…!」

小さな悲鳴が聞こえ振り返ると、耳の長い子と金髪の男の子が仮想ロボットに捕まっていた。
結構な力で捕らえられているのか抜け出せないようだ。


「ッチ…!まだうまくいくかわかんないけどやるしかないか…!」


誰かが助けを求めてるのに、手を差し出さないなんて
ヒーローじゃないでしょ!!!


「お、おいっ…お前…!!危ねえぞ!?」


誰かの呼び止める声が聞こえたが、それに構っている余裕もなく仮想ロボットに向かって走り出した。

ボッ!!!

すでに出しなれた炎の羽で思いっきり上昇し、仮想ロボットの頭に着地。
所詮は機械。思いっきり熱を上げれば機能がショートするはず…!
“熱を限界まで引き上げる”

ジュワァ…!!

「ふっ、んん…!!」

ゴォッ!!ボンッ!!!
予想通り仮想ロボットはショートし、大きな音を立てて崩れ捕まっていた二人を離した。

「わ!たす、かったのか?」

「上、見なよ!あの子が助けてくれたんだ!」

捕まっていた2人はどうやら抜け出せたようだ。
無事だよかった、そう思って自分も降りようとしたとき一気に体の熱を上げたせいで足元がグラついた。

「っやば…、」

「え!?嘘!落ちてきてない!?」

「うわわわ!」


足元がグラついて踏み外し、真っ逆さまに落ちる。
体制を整えようにも、炎の羽を出そうにも熱で頭がボヤける。


ボスンッ!!

「っあっぶねー…」

「いやナイスだよあんた!」

下にいた金髪の男の子に抱き留められたあと、私の意識はブラックアウトした。


「ん、?」

「やっと起きたんかコラ」

「え、かっちゃ…」

目が覚めると目の前にかっちゃんがいて、ベッドに寝かされていた。
どうやら金髪君が保健室に運んでくれたようだ。かっちゃんは幼馴染だからと付き添ってくれていたらしい。

「0ポイントの仮想ロボットをショートさせておいて、自分もショートしてちゃ世話ねえな」

「む。でも捕まってた2人は助かったもん」

「だァらそれでテメーが倒れちゃ意味ねえだろうが!」

「…もしかして心配してくれてる?」

「あァ!?心配なんざしてねえ!!!あんなアホ面に身ィ任せやがって!」

「うるっさ…!」

キンキンと怒鳴りながらペシン!と冷えピタを貼られた。

「それ貼って帰んぞ」

「ふふっ、うん」


私の分のバックまで持ってくれるかっちゃんはやっぱり心配性だと思う。









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