小説 | ナノ




中学2年の初夏、轟家の庭で訓練後のアイスを食べていた。



「美鳥〜!炎司の家には遊びに行くなっていっただろう〜」

「エンデヴァーがいいって言ったもん」

「だからお父さんはヤなの!炎司になんてあげないんだからな!」

「…ところで美鳥のお父さん。今日は何しに?」

「焦凍くんに美鳥はあげないからね!!
っじゃなかった、そう!美鳥、お母さんがだいぶ回復したんだよ!」

「もっと早くいって?!」

意外とおちゃめなお父さんに振り回されつつ、お母さんが起きたことを知る。


「これからお見舞いに行くから迎えにきたんだよ〜」

「ほんと早くいって!?ごめん焦凍くん、お父さんと行ってくる!」

「、ああ」

焦凍くんに挨拶すると、足早にお父さんの車に乗り込み病院へ向かった。


「お母さん!」

「美鳥〜、ごめんねなかなか話せなくて」

「ご家族の方ですね?今ちょうど今後のお話をしていたのでお二人も聞いていってください。」

「わかりました」

お母さんの病室に入ると先生がいて、ちょうどお話しているところだった。
お父さんと一緒に座って先生の話を聞く。


「単刀直入に言いますね。奥様は敵によって襲われたと思われます。目的はおそらく個性の奪取。」

「え?!じゃあお母さん個性が…?」

「いいえ、微弱しか出せないけどまだ一応残っているわ」


「そうなんです。奥様の個性は残っている。つまり奪取し損ねたか、奥様ではない個性を狙っていたか、です。奥様、襲われたとき敵を見ていますか?」

「いいえ、頭を強く打ったようで覚えていないんです…。」

「つまり襲われた時のことがすっぽり記憶から消えてしまっているんです。確認したところ奥様が倒れていたあたりはだいぶ延焼していまして、ただ迎撃した奥様の個性なのか、敵の個性なのか判断できないところです。」

「…敵は炎系の個性ということですか?」

「あくまでも可能性です。そのくらいしか敵に繋がる情報がないので…。
ただ一つ問題があるんです。もしも奥様を襲って目的と違う個性だと気づき中途半端にやめたとしたら、」

「目的だった個性を持つ人がまた狙われる…!」

「そういうことです。そして今回敵が無差別ではなく奥様を狙ってきていることから、目的である人のおおよその個人情報が特定されていると思われます。そして私の推測だと、本当の目的は奥様と外見の似ている娘さんではないかと。」

「わ、たし…?」

先生の話を聞いたお父さんとお母さんの空気に緊張が走る。


「ど、どうすればいいですかね…?先生」

「しばらくは学校の送迎に誰かつけたほうがよいかと。まああくまで私の推測なので、あれですが。」

「よし!炎司に頼もう!」

「ええ!?さすがにナンバー2に迷惑だよ!それに私だって鍛えてるし大丈夫だって!」



その後も話をしたが、お母さんとお父さんは何かあってからでは遅いと、結局エンデヴァーに依頼をお願いすることになってしまった。






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