小説 | ナノ
あのあと、お父さんが夜迎えに来て若干修羅場になった(笑)
どうやら相当気に入られてしまったらしく、中学も同じだとわかり今後も家に上がる許可をいただいた。
まあもちろん焦凍くんはとても嫌がって反抗していたが、冬美さんはどこか嬉しそうだった。
「お前…いつまでうちに来るんだよ」
「え?だめ?」
中学校に上がってからも、時折轟家にお邪魔していた。
焦凍くんとは必然的に一緒にいることが増え、彼の昔話を聞いた。まあだから、彼がエンデヴァーを恨む気持ちもわかっているつもりだ。
「クソ親父はああいってるが、俺は絶対結婚なんてしないからな」
「あ〜…その件ね。わかってるわかってる、別に私も本気にしてないし
目的としては、冬美さんのご飯とかエンデヴァーにしごいてもらうとか、そんなところかな。」
「あんなやつにしごいてもらって何になるんだよ」
「ん〜、私は“焦凍くんのお父さんのエンデヴァー”って見てないからかな。私が見てるのは“ナンバー2ヒーローとしてのエンデヴァー”だから。」
「…?なにが違う?一緒だろ?」
「焦凍くんは、よくも悪くもお父さんとしてエンデヴァーを見てるんだよ。私はヒーロー目指してるから、たとえナンバー2でも、使えるものは使おうと思って。」
「使えるものは使う…」
「そう!オールマイトの存在が大きいからあんまり見えないのかもしれないけど、エンデヴァーもすごい数の事件を解決してるんだよ!そんな人に身近で訓練してもらえる機会ってそうそうないよ〜」
今のうちに色々見てもらったら周りと差が付きそうじゃない?だからとりあえずはいはいって言うこと聞いて、ご機嫌とっておこうと思って。
結婚なんてまだまだ先の話だし!フリしとけばいいんだよ〜!とどこかで聞いたような設定がまさかここで活きるとは。と思いながら話す。
「っふ、そうか。お前なんか変な奴だな、ははっ」
「…笑った」
思うところがあったのか、納得してくれたのかわからないが初めて焦凍くんの顔が柔らかくほどけた。
「?俺、わらってなかったか?今まで」
「笑ってないよ!すご、初めて見た!かわいい顔して笑えるじゃん!」
「か…、わいくねえよ…!」
「いいじゃんいいじゃん!二人で強くなってさエンデヴァーをぎゃふん!って言わせよ!」
「それ死語じゃねえか?」
そんなことを言いつつ、悪くねえと焦凍くんの友達になれた瞬間だった。
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