小説 | ナノ




ある日の朝…


ぱちっ!と勢いよく目覚めたが、しまった不順って事もあってすっかり忘れてた…



「しかも、9時…」


この船に乗ってからは、意外と規則正しい生活の私は大体この時間には食堂についている。それが居ないとなれば、誰かしら不自然と感じるだろう。
しかし、ここは男所帯。尚且つ私は一応まだ未婚であるし、羞恥もある。
出来れば月の物…生理なんて言いたくはない。


自身の血で真っ赤に染まってしまったシーツを二度見する。


「はぁぁ…ナプキンなんて持ち合わせないよ…」


とりあえず、洗わないといけないがいかんせん、身体が重いのと激痛が走る。
ううぅ…と唸っていれば、案の定それはきた。


コンコンコン、


「おーい、トリシーー?飯だぞー?起きろー」


「…キャスか…」


キャプテンはこの時間は起きないに等しいし、ペンギンは忙しい、まぁキャスに回ってくるのは当然か。しかし、キャスならば都合がいい、バキャスならばバレないだろう。



「あ、キャス?ごめん、今ちょっと取り込んでて、後でご飯食べに行くから、みんなで先食べてて」


扉越しにそう言えば、キャスは帰って行くと思ったが



「はァ?片づけもあんだから、さっさと食っちまえよー、俺ここで待ってるからー」



「えっ(ハァ!?)」



これは予想外だ…
ただでさえ激痛で起き上がれない上に、シーツも洗わないといけないってのに…
飯なんか食ってる暇あるか!



「い、いやーちょっと具合悪くて…食べに行けないかなー、みたいな?」


「はぁ?なんだよ、そういうことは早く言えよ!今船医呼んでくっから!」


「あぁぁあ!違う!いい!呼ばなくていいー!」


「はぁ?!何言ってんだよ!
あ、ペンギン」


ええええええ!!ペンギンまで来たの?!なに今日暇なの!?
ペンギン鋭いから誤魔化せそうにないぞ!!



「何してる?朝飯の時間だぞ?」


「なんかトリシーが出てこないんだよ」


「だーかーらー、用があるから、後で食べるって…ば…!」



しまった。あまりの激痛に語尾が小さくなった…



「……血の匂いがする」


「!!?」


「はぁ!?えっ、トリシーのやつ怪我してるってことか!?」



あっちゃー…マジか、鼻も効くの、ペンギン…

「はぁー、大丈夫だから先に食べててって…」



「おい、何してる」


「「あ。キャプテン」」



終わった。
なんでお前そこにいるんだよ、いつもこの時間起きてないだろ…!!




「血の匂いがするな」


「トリシーのやつ出てこなくて…」


「トリシーが怪我してるのかもしれないんです」


なんなの!?お前ら獣か何かなの!?
そんな血の匂いとかなんでわかるの!?なんとなくわかるけど!←
外科医なんだろ!察しろよ!!



ガチャッ

ドアノブを回す音が聞こえたが、まぁ勿論鍵をかけてある。



「チッ…」


「えっちょ!?キャプテン!?刀抜いて何すっ…!」


「やめて!!ほっといてってばー!!!」


その声を聞いて咄嗟に刀で斬る気か!と感じ、扉を頑丈に練成し直す。
しかし、体調不良によりうまく練成されなかったせいか、そこまで頑丈には出来なかった。



「うだうだうるせぇな」


スパパパン!!!!


綺麗な音と共に斬られ崩れ落ちる扉。
今度こそ目に見える三人の姿。



「入ってくるなーーー!!!!」


「うお!?」


思わずポイポイ!!と物を投げつけながら、シーツを持って部屋の奥へと逃げるが、



「うっ!」


「トリシー!」


襲ってきた激痛に思わず倒れる。
キャプテンに追いつかれ、グイッと抱き上げられた。



「顔色が悪いな…でもそんなに出血がない」


「どっから出血してんだ…?」


「…」


ペンギンとキャスが真面目に分析する横で私をガン見して考え込むキャプテン。
っていうか、そんなペタペタ触んな。


「だから、大丈夫だってば…」


「大丈夫じゃねーだろ、ここまで近づけば俺だって血の匂いわかるぞ!」


「いや、大丈夫だ。」


何処だ何処だと出血場所を探すキャスの後ろでキャプテンがそう言って私を抱き上げた。



「いつもより若干だが体温が高い、加えて何かの痛みに耐える様に腹辺りを摩る手。
そしてこの血の匂い。
トリシー、お前生理だな?」


「言うなバカァァアア!!!!デリカシーなさ過ぎ!!!」


きゃんきゃん吠えれば、いい薬処方してやる。とか言って抱いたまま歩き始めたキャプテン。




「…いつもあんな俊敏なトリシーがあんな動けないなんて、生理重かったんだな…」


「そうだな…とりあえず、飯食いに行くぞ、シェフに俺たちまで怒られる。」







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