ギリメイ


「ねぇサル、ギリスはいつまで私の事を好きでいてくれるかしら」
「……え?」

明日はSSCワクチンを接種する日。
メイアとサルが向かい合ってお茶を飲んでる時にメイアがポツリと漏らした。

「どうしたんだい?急にそんな事聞いて。喧嘩でもした?」
「ううん、違うの。」
「だよね。じゃあどうして?」
「…明日、ワクチンを受けるでしょ?」
「…そうだね」
「そうすれば私達はいつまでも子供のままじゃいられない。年を取れば今の容姿でいる事が出来なくなる。…ギリスが美しいと言ってくれた外見じゃなくなるのよ」
「…成る程。つまり君は老いてしまってもギリスが自分を好きでいてくれるか不安なんだね?」
「だって…っ」
「だ、そうだよ、ギリス」

サルがドアの方へ目を向けた。

「え…」

メイアが振り返るとドアがガチャリと開いた。
そこいたのはギリスだった。

「ギリス…っ!!」
「メイア…」
「さて、と…お邪魔虫は退散するよ。後は二人でごゆっくり。」
「あ、待っ…!!」

サルはメイアの制止する声を無視して部屋を出ていった。
残されたのはメイアとギリスの二人だった。

(どうしよギリスに聞かれてた…っ)
メイアにとってはこの沈黙が耐え難く、手を強く握り締めて俯いていた。

ギリスの顔を見るのが怖かったのだ。

「メイア」
「!」

呼ばれて恐る恐る顔を上げると何故かギリスは悲しそうだった。

「ギリ…」
「ずっと…そんな事思ってたのかい?僕が君が好きなのはただ君が美しいからだって」
「だって…」
「バカだなぁ」
「え…」

ギリスはゆっくりとメイアに近づき優しく抱きしめた。

「確かに僕は君は世界一美しいと言った。でも外見だけじゃない。君は心が、君の全てが美しい。君の心は強く、気高く、それでいてとても優しい。僕はそんな君の心にも惹かれているんだよ」
「ギリス…」
「確かに年を取れば君の外見は変わってしまうだろう。でも君の心まで変わってしまう訳じゃない。そうだろう?」

ギリスはメイアの頬に手を添えて優しく微笑んだ。
その途端メイアの瞳から涙が溢れだした。

「ギリス…っごめんなさい疑って…」
「いいんだ、僕も不安にさせて悪かった。だから改めて言うよ。…メイア、僕は君を愛してる。これからもずっと、君を永遠に愛すと誓う」
「…っ私もよ」

メイアは今後は笑顔を浮かべてギリスに抱きついた。


「それにね、大人になるってのも悪い事ばかりじゃないさ」
「?」
「だって子供のままでは出来なかった『結婚』が出来るようになるだろう?」

(それはいつまでも一緒にいれる不思議な呪文)

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