黄名子+支援者X※
「アースーレイっ!!最近こそこそ何やってるやんね?珍しく裁縫箱なんか出して…ボタン付けならうちやるよ?」
「!、黄名子!いや、これは、その…っ」
珍しく休みの日曜日、アスレイは黄名子に隠れてこそこそと何かやっていた。
後ろから急に黄名子に抱き着かれたアスレイは慌てて何かを隠した。
「あー!今何か隠したやんね!見せるやんね!」
「あ、待っ…」
持ち前の身のこなしさであっという間にアスレイの前に回った黄名子はアスレイが隠したものを取った。
「黄名子!あんまり派手に身体を動かしたら…」
「アスレイ…何これ?」
「うっ…」
アスレイが作っていたのはぬいぐるみだった。
しかし…
「一応…ウサギのつもりだ」
「ウサギ…これが……プ、アハハハハ!!」
黄名子はその正体が分かった途端お腹を抱えて笑いだした。
「そ、そんなに笑わなくてもいいだろう!!」
「だ、だってアスレイ、少なくともウサギはこんな耳丸くないしちっちゃくないやんね!!」
「う…」
黄名子がヒーヒー言いながら指差したウサギの耳はまるでくまの耳のようにちっちゃくて丸かった。
「相変わらず不器用さんやんね。でもなんで急にぬいぐるみ?」
笑い過ぎて目尻に浮かんだ涙を拭いながら黄名子は聞いた。
「…生まれてくる子供にあげようと…」
「え?」
「君がこうして頑張ってるんだ。だから私も何か子供の為にしたいと思って…」
「だからぬいぐるみ?…でも生まれるのまだ半年以上先やんね」
「れ、練習だ!…それにこれから先いつ作れる暇があるか…」
「ふふ、」
「黄名子?」
黄名子がぎゅっとアスレイに抱き着き頬をすりよせた。
「アスレイは十分うちの為に頑張ってくれてるやんね」
「しかし…」
「だから、ね?このぬいぐるみは一緒に作ろ?沢山沢山、愛情込めながら。…アスレイだけで作ったら出来が恐ろしいやんね」
「?」
黄名子が小さく最後に付け足した言葉はアスレイには聞こえなかったようだ。
「じゃあ…一緒にやってもらってもいいか?」
「勿論!!これがうちらからの初めてのプレゼントになるやんね。頑張って作るやんね!!」
「…あぁ」
(黄名子…ウサギにマントは着いてないんじゃ…)
(可愛いからいいやんね!!)
(………。)
back