支援者X※
全てが終わった後、私は黄名子の墓の前に来た。
「…しばらく来なくてすまなかったね」
支援者Xとなってからは更に忙しく、それでも暇を見つけては墓参りに来ていたのだがフェーダの破壊活動が激しくなってからは更に足が遠のいてしまった。
「過去の君には色々迷惑をかけてしまった。けれどフェイの為によくやってくれたよ。…ありがとう。」
全てが終わった。
けれど私の心は晴れなかった。
ここに来たのもその為だった。
「黄名子…私がした事は正しかったのだろうか」
そう、これが唯一の心残りだった。
私がした事が間違っていたとは思わない。
あの時はこれが最善の策だった。
けれど正しかったのかと言われたら素直に頷けない。
それには沢山の人を巻き込み過ぎたし、なによりあの子に寂しい思いをさせ過ぎた。
「…なんて、君に言っても仕方ないか」
でも願わくは。
「フェイがせめて君の事だけでも母親と思ってくれたら…なんて、」
「大丈夫やんね」
「え…」
一瞬大きな風が吹いた。
目を開けて後ろを振り返ると私が知っている姿よりも少しだけ老いた彼女がいた。
いつの間にか目の前にあった墓はなくなっている。
「きな…」
「フェイね、うちからフェイが生まれる前のうちに会いに来てくれたやんね。大丈夫。あの子は誰も恨んでなんかないやんね。」
知らず知らずのうちに涙が溢れてだした。
これは夢なのだろうか。
「泣き虫さんやんね。フェイの方がずっと強いやんね。これじゃフェイに笑われちゃうやんね。」
「黄名子…」
黄名子が私の手を引いた。
彼女の体温が夢じゃない事を教えてくれる。
「歴史は変えられる、って教えてくれたのはあの子達やんね。ほら、早く行こ。あの子も待ってるやんね。」
心の底から望んだ家族3人との対面が願うのは数秒後。
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