フェイ※


元々不思議な存在だった。

だって彼女はここにはいるはずのない存在だったから。

けれどまさか彼女が、チームメイトとして一緒だった彼女が母親だったとは思わなかった。

けれどウソだ、と思うと同時にあぁ、なるほどな、と心のとっかかりが取れたのも事実だった。

だって僕は彼女に少なからずとも惹かれていたから。

最初は何者なんだという不審感しかなかったけれど白亜紀で僕の弱さを受けとめてくれた。

僕の背中を押してくれた。

そんな人、初めてだった。

けれど惹かれてると言ってもそれが恋なのかって言われたら少し違う気がした。

だから母親だって言われた時、この気持ちは無意識のうちに母を慕う気持ちだったんじゃないかと思った。


セカンドステージチルドレン達との闘いが終わって少しあの人と話した。

そこで彼女のことについて色々聞いた。

あの人の話によると彼女は僕を産んだ後容態が急変してしまいそのまま逝ってしまったそうだ。

「ワンダバ、お願いがあるんだけど…」

僕はどうしても彼女に、母親としての黄名子に会いたかった。


「…わかる?」
「…また会えたやんね」

話した時間は少なかったけれど十分だった。

だって、僕はこんなにも愛されていた事がわかったから。

「じゃ、もう行くね。」
「うん…フェイ。これからしっかりね。」

僕は病室から出た。

「またね、お母さん」

また会える日を願って。

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