バレンタイン(綱塔+夏秋冬→円)


事の発端は春奈だった。
「もうすぐバレンタインなので女子で皆にチョコを送りましょう!!」
こうして女子だけの会議が始まった。

「とは言っても皆さん本命の人がそれぞれいるっぽいのでチョコは作る予定だったとは思いますけど」
何やら皆の恋心を知っているらしい春奈は含みのある顔で笑った。
それに対して皆の反応は
「わ、私は別に好きな人なんていないわよっ!!」
「私は元々皆の分を作るつもりだったわよ」
「私はとりあえずお父さんにはあげるつもりだったけど…」
「うちはもちろんダーリンや!!まぁ他の皆にも義理ぐらいやったらあげてもえーけどな」
「あたしは好きな奴とかいないからな〜チョコなんてパパ以外にあげるつもりはなかったよ」
と明確な答えを得られたのはリカだけでそれ以外はバレバレなのにライバルが傍にいるせいか本命の相手に渡すということは少しも匂わせなかった。
もっとも塔子は本当に今のところはいないようだが。
しかしとりあえず皆一人には元々渡すようだったので安く済むという理由で皆でチョコを作ることになった。

「けど何処で作るの?皆の合宿場であるここで作ったらバレるだろうし…」
「じゃあうちに来いよ。あたしん家結構広いしさ」
ということで皆で塔子の家にお邪魔することになった。

ー塔子の家にてー
「よし!!それじゃ作りましょうか!!」
六人はチョコ作りを開始した。
「作るのは皆でだけどやっぱり一人一人手渡しの方がいいわよね」
「となると一人当たりだいたい3〜4人ぐらいですか?」
(((円堂/守君に渡したいな…)))
すると三人の思惑を悟った春奈が
「けどやっぱりキャプテンには皆で一人ずつ渡しましょうか。いつもチームの皆を引っ張っていてくれてありがとうという意味とこれからも頑張ってくださいという意味を込めて」
と言って笑った。
一瞬三人は戸惑ったが
「「「そうね/はい」」」
と微笑んだ。

「それじゃ他の人達の分担はどうしましょう?」
「はいはーい!!うちは勿論ダーリン担当や!!そんでもって塔子!!あんたは綱海担当や!!」
「それはいーけどなんでだ?」
「えーからえーから!!うちのゆー通りにするんや!!」
「??わかったよ…」
(よっしゃ!これで少しは進展してくれはるやろ!!あ〜めっちゃ楽しみや!!)
心の中でガッツポーズを取ってりリカの思惑など知らない塔子はまだ少し困惑していた。
(あたし綱海に渡すのか…なんか照れくさいな…あたし同年代の奴にチョコなんかあげたことないからかなぁ?)
「それじゃ他の人達の担当を決めちゃいましょうか」

バレンタイン当日
「「「皆さーん!!女子からの手作りチョコですよー」」」
六人達はあらかじめ決めてあった人達へ各自が渡しに行った。
「おおっ!!すげー!!」
「俺女の子からチョコもらうなんて初めてッス!!」
「わぁっ!!ありがとう。凄く嬉しいよ」
「ダーリンうちのも受け取ってや〜」
「あ、ありがとうリカ…」
一部苦笑している者もいたが皆もらっていて凄く嬉しそうだった。
「「「円堂/守君いつもお疲れ様」」」
夏未、秋、冬花達は既に他の人達には配り終わったらしく、三人で円堂にチョコを渡していた。
「おおっ!!サンキューな!!」
円堂は三人の思惑など気付かなかったようでニカッと笑って受け取っていた。
三人は一瞬息を止めて円堂に見惚れていたがお互いに目線を合せて苦笑した後
「「「うん/ええ!!」」」
と言って笑った。
三人とも自分の気持ちは伝わらなかったようだがとりあえず渡せたから良かったという気持ちだったらしい。

「おーい!!綱海ー」
「ん?」
「はい、ハッピーバレンタイン!!」
「おっ!サンキューな塔子!!」
綱海は笑いながら塔子の頭をなでまわした。
塔子も少し照れくさそうにしていたが満更でもなさそうだった。
「なぁ今これ食っていーか?」
「へっ!?今食べるのか?…ん〜まぁいーんじゃないか?」
「へへっサンキュー。んじゃっ!!いっただきまーす!!」
綱海は包みを開いて口の中へ入れた。
「おおっ!!うめぇっ!!すげーな塔子!お前ちゃんと料理出来たんだな!?」
綱海が心底驚いてた風に言った。
「失礼な奴だなっ!?あたしだってこんぐらい出来るよ!!」
怒りを表している塔子に対して綱海は
「ははっわりぃわりぃ。でもマジうまいぜ。ありがとな!!」
「〜〜〜っ」
綱海が笑いかけた途端塔子は急に顔が赤くなった。
(な、何だ!?何で急に顔が熱くなったんだ!?)
急に赤くなって狼狽えてる塔子を不審に思った綱海は塔子に尋ねた。
「お、おい塔子?お前急にどうしたんだ?熱でもあんのか?」
「な、何でもないっ!!あたし他の奴達に渡してく「あげんなよ」…へ?」
さっきまで笑っていた綱海が急に真剣な顔つきになって言い放った。
だが綱海が言った言葉に一番驚いていたのは綱海自身だった。
「お、俺何言って…」
「つ、綱海…?」
綱海は決まり悪そうに頭をガシガシとかいて
「なんかよくわかんねーけどなんかお前が俺以外の奴にあげるのが気に食わねーんだよ」
と目を反らしながら言った。
「いやでもあたし他の奴の分も渡さなきゃだし…」
「そんなのうちが渡しとくって!!」
「リカっ!?」
いきなり現れたリカに二人は驚きを隠せなかった。
「えーやんえーやんめっちゃ青春やん!!」
「何言ってんだリカ?」
一人悶えているリカに対して綱海と塔子は心底わからないという顔でいた。
「二人共あんな会話しててなんも分かってなかったん!?…まぁえーわ。綱海!!」
「へ?俺!?」
いきなりリカに呼ばれた綱海はびっくりしていた。
「独占欲もホドホドにせんとあかんで〜」
「んなっ!?」
ニマニマしているリカに言われた言葉に思い切り動揺する綱海だった。
「ほな邪魔者は退散するな〜ほらっ!!塔子チョコ貸しっ!」
「あ、ちょっリカ!!」
「ほなな〜」
そう言うとリカは走り去って行った。
「何なんだ?あいつ…」
「さぁ…?」
ポカーンとしている二人を置いて。
「まぁその、なんだ…チョコマジでありがとな」
「!!…おおっ!!」
少し気まずい空気を残しながらもどこか甘い空気を漂わせている二人だった。
二人が自分達の気持ちに気付くのはそう遠い話ではないかも知れない…

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