新生イナジャパ+天葵


「キャプテンってマネージャーと付き合ってるんですか?」
「へ?」

始まりは真名部のこの言葉だった。

「マネージャーって…葵の事?」
「勿論。だって中学生にもなって名前で呼びあうなんて珍しいじゃないですか」
「だって葵は幼なじみだし…別に普通じゃない?」
「のわりには随分と距離が近い気が…」
「そんな事ないって!」
「天馬ーっ!」
「!」

真名部の問いに天馬は笑って流すだけだったが葵の呼び掛けによってそれも途切れた。

「監督が話あるって!早く来て!」
「わかったー!じゃあ皆、練習続けててね!」

そう言って天馬は軽く手を振ると葵のもとへと駆けていった。

「ふむ…」

真名部はまだ納得出来ないようで首を傾げていた。

「甘いねぇ、真名部くん」
「!、皆帆くん」

しかしそこに皆帆が絡んできた。

「あれはまだ両片思い…というか、マネージャーは自分の気持ちに気付いてるけどキャプテンは無自覚でマネージャーに恋してるみたいだね…どう、あってるかい?」

皆帆は剣城の方に問い掛けた。

「さぁな…だがあの二人は雷門にいた時からずっとあんな感じだそ」

剣城達(主に狩屋)が二人の仲を邪推して真相を確かめようとした事は多々あったが肝心の二人があんな感じなので実際のところはよくわからなかった。
信介などは何故あれで付き合っていないといえるのかわからない、とぼやいていた。

「うーん…真相が気になるな…これは確かめるしかないね」
「確かめるって…どうやって?」
「どうやらは練習後、よく二人は話しているみたいなんだ。会話を聞いていればきっと真相にたどり着くさ」
「…なんでお前はそんな事知ってるんだ?」
「尾行は刑事の基本だよ」
「お前は刑事じゃないだろ…」
「まぁともかく、気になるから今日調べてみるけど他に行きたい人いる?」
「「「はーい」」」

皆帆の問い掛けにほとんどの人が手を挙げた。
なんだかんだで皆も気になっていたようだ。

「なんでこんな時だけチームワークがいいんだ…」
「神童さん…」

1人を除いて、だが。


「…で、どんな状況なんだ?」
「今は二人でベンチで何か話してるみたいだね…」
「あのー…やっぱり止めといた方が…」
「あの距離が普通とは流石幼なじみ…」
「青春っすね〜」

皆は二人から少し離れたところで様子を伺っていた。
声が聞こえないのは些か残念だが。


「このチームで本当に世界一になれるのかなぁ…皆が頑張っているのはわかるんだけど…」
「何言ってんの!天馬がそんなんじゃチームの士気に関わるでしょ!」
「葵…」
「大丈夫!天馬なら。なんとかなるさ!、でしょ?」
「…うん、ありがとう、葵」

天馬は穏やかに目を閉じると手を繋ぎながら葵のおでこに自分のおでこをコツンとくっつけた。

「どういたしまして」

葵もふふっ、と笑い返した。


「…キャプテンやるね〜」
「あれで付き合ってないとか…嘘だろ」
「だから言っただろ」

二人のイチャつきっぷりに皆は声を失っていた。

「これは…二人共無自覚の両思いって感じかな…僕もまだまだだね…」
「早く付き合えばいいのに…」

瞬木の台詞に皆が頷いたのは言うまでもない。



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