ギリメイ


「綺麗だよ、メイア」
「ふふっ、ありがとうギリス。あなたもそのタキシード、よく似合ってるわ」

二人共、今日は純白の服を身に纏っている。

今日は、二人の念願の願いが叶う日だ。

二人はお互いに微笑んでいた。しかし、

「?……メイア、泣いてるのかい?」
「え……?」

メイアの瞳から一筋の涙が伝った。
メイア自身も無意識だったのか心底驚いていた。

「あ、あら…?」

化粧が崩れると思い慌てて涙を拭うが涙は溢れるばかりだった。

「メイア…」

ギリスは心配そうにメイアを見つめてる。

「ち、違うのよギリス。これは悲しいから泣いているんじゃなくて…」

メイアはそこで言葉を切るとギリスに凭れかかった。

「メイ…」
「ふふっ…不思議ね、ギリス。私、ずっと涙は悲しい時にしか流れないものだと思ってた。けど違うのね。…涙は、幸せ過ぎる時にも流れるものなのね」

メイアは目元を赤くしながらも満面の笑みを浮かべた。

ギリスと出会ってからずっと願っていた、だけど叶わないと諦めていた夢が、今日、叶う。

「メイア…」

ギリスは愛しそうにその名を呼ぶと優しくメイアを抱きしめた。

「ギリ…」
「メイア、この先何十年と続く君の未来をくれると言うならば僕は君を一緒幸せにすると誓うよ。だからメイア、」
「えぇ。喜んで貴方に捧げるわ。そして代わりに私にも貴方の人生を頂戴。そしたら私も貴方を幸せにすると誓うわ」
「ありがとうメイア。……一緒に、幸せになろう」
「勿論よ…っ!」

メイアとギリスは互いに強く抱きしめあった。


「あのー、お楽しみの所悪いんだけどさ、僕が言う前に二人の将来を誓わないでくれる?」

サルが仏頂面をしながら二人の世界に割り込んだ。
行儀悪く、教典でトントンと肩を叩きながら。

「あら居たの、サル」
「君たちが僕に神父役を頼んだんだろ…」

しかし長年の付き合いで二人のいちゃつきっぷりには目も当てられないのか早口に言った。

「まぁいいよ。誓いは…もういいでしょ。……じゃ、誓いのキスを。」

サルの言葉に倣いギリスがメイアの肩に手を置くと二人影がゆっくりと近づき、やがて―――1つになった。


今日は二人の結婚式。

誓いのキスは甘い甘い優しいキスだけど、少しだけ、涙の味がしてしょっぱかった。

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