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 Rose



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ロゼはどことなく"妹"に似ていた。勢いがよく、時にひっそりと沈み、計らずとも場をまとめるその姿は、遠い昔に見たきりの少女を思い出す。
初めて出会ったときは彼女の正体に驚いたものだが、この若さでその道を選ばざるを得なくなったその運命に、まったく恨みを持たないその姿勢が僕には眩しくてたまらなかった。妹のように見ていた彼女を、一人の女性として見始めたこと。きっとそれは、僕にとっての失敗であったように思う。こんなに心が苦しいなんて、この時は知らなかったのだから。
すべてが終わってからしばらくして。僅かではあれど、世界に白い光が満ち溢れたころ。少しばかり年を取った彼女とキッチンに立つ。相も変わらずそろばんでクッキーを作ろうとするものだから、思わず教え直そうとする。だが、長い事共にいた風が直さなかったのだ、やっぱりこのままでいい。そう思って、器用にクッキーを作っていく様子を見ていた。

「どうしたの?」

目を細めて楽しそうに笑った彼女の瞳は、遠い昔に吹き荒れた風を追ったままだということ、きっと彼女は自分に嘘をついて、気付かないふりをしている。僕では彼にはなれない、彼の居場所に僕が入ることは出来ない。それが互いの心に傷を生んでいることも知っていて、僕らは一方通行の恋をする。


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