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 君のことなら




「僕のことを知りたい、ですか?」

彼は眉を少し顰めてそう返してきた。本人曰く「2000年級のシロモノですよ」とのことだが、いまいちその年季というか、年を重ねてきたという風貌がない。天族のごとく見た目の年齢がほぼ変わっていないそうだが、そのせいもあるのだろうか。見たところロゼより少しだけ年上に見える。口調は丁寧で紳士的だが、その言葉の裏には何かが込められている気がしてならない上、どこか淡々としていて、そっけない。冗談を言うときだけ妙に楽しそうで声音が上ずるのは分かっているのだが。

「"他人の知らない"僕の事なら知っているでしょう?昨夜散々僕を組みし……」
「そういうことじゃないしそれを言わないでくれ!」
「ふむ。では一体どういう僕を知りたいのですか?」

突然あんなことを言われ、思わず動揺しあたりを見わたす。なんてことを言うんだ、こっ恥ずかしいにも程がある。普段の声音に戻ったおなまえに、どういう自分を知りたいか、そう返されてもう一度悩む。

「おなまえのことなら、何でも知りたい」

彼は切れ長の目をめいっぱい開いたまま、瞬きもせずしばらく僕を見つめていた。

「冗談でしょうか」
「いや、本気だ。君のことなら余さず全て、知りたいと思っている」

まっすぐにその瞳を見つめ返すと、おなまえはきっと遠目にでも分かるくらい真っ赤になっていた。

「物好きですね」

遠い昔に恋をしたあの人と、あなたは同じことを言う。おなまえはぼそりと呟いて、笑った。

「いいですよ。あなたが大人になっても、きっと話は終わりませんから」
「構わないさ。僕がジイジのような風貌になっても、終わらないことを祈るよ」
「さすがに、そこまで長い話はないと思います……けれど」

僅かに目を細めて笑むその顔は、どこか呆れたような。僕の「ずっと一緒にいてくれ」という意味を込めた言葉は、小首を傾げた彼の返しに撃沈する。じゃあ直接言うまで、と口を開く。

「冗談です。ずっと僕と共にいてくれるんでしょう?離しはしませんから、ね?」

おなまえはさらに目を細めて、鼻と鼻が触れ合うほどの距離に詰めてくる。……なるほど2000年級のシロモノだ、高々十数年生きただけの僕に勝ち目は薄いと。ならば、と紅玉髄の瞳を見つめ返しながら、綺麗に弧を描く唇にキスを落とす。

「こっちのセリフ」

動揺した彼のその表情は、とても2000年以上生きたものとは思えないほど、僕の心を擽った。


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お題:診断メーカー(801CPお題(甘イチャ編)やってみたー)より「君のことならなんでも知りたい」


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