俺は朝からうきうきしていた。放課後が待ち遠しかった。
いつもみたいに学校に行くと、赤也に会って仁王にも会って、うきうきしてるのは俺だけではないようだ。


「今日っスね」

「今日だな」

「今日じゃのぅ」


下駄箱でニヤリと笑って顔を見合う俺達は相当変人に見えている事だろう。
そんな俺達がニヤニヤしている理由は、今日の放課後にある。
今日は放課後の部活がない。部活のない日は病気で入院中の幸村君の見舞いに行く。

黒いし、スパルタだけど俺たちは皆幸村君がなんだかんだ言って好き。
表情の読めない柳だって見舞いに行く日はすっげー楽しそうだしな。


「朝から楽しそうですね。」

「おう、おはよう柳生!!」


紳士という肩書きを裏切らず、柳生はおはようございますと頭を下げた。
風紀委員と書いてある腕章を右腕にはめてるから多分朝の見回りの最中なんだろう。後から真田まで来た。


「何をしておるのだお前達は」

「たまたま会っただけじゃ。お前さんこそ何しとるん?」

「風紀委員の見回りだ。」

「なぁ、幸村君のとこ行く前にスーパー寄ってこうぜ!!」

「ケーキも買って行きましょうよ、丸井先輩!!」

「おぅ!!」

「お前さんらが食べたいだけじゃろ。」

「じゃあ私達は果物を買って行きましょうか、仁王君。」

「プリ」



俺はそわそわした気持ちで一日を過ごした。居眠りしながら幸村君がいたときの事を考えてたら何か悲しくなった。
幸村君、いつ戻ってくんのかな。

授業中も、弁当食ってるときも、病院まで歩いてるときも、ずっと俺はそんな事を考えてた。
幸村君がいなくなった部活はなんだか穴が開いたようで、真田もスパルタだけど、幸村君にはやっぱり適わねぇな。

平部員にもマネの仕事の負担させて無理させてるし。
今日は真面目に相談すっか。

赤也と一緒に選んだケーキを持ってスーパーの外で待ってる皆の所へ行った。
仁王に買い過ぎだと呆れられた。

病院に着くと、走って幸村君の病室に走っていった赤也。

俺達も後に続いて早足で向かうと、何故か静止している赤也。
病室を覗くと、幸村君と一緒に女がいた。

立海の制服を着ている。因みに化粧はしていないみたいだし、清楚って感じのやつだ。
あ、それから多分仁王が最も苦手で、柳生が最も好みそうなタイプのおとなしい感じの女子。

ファンクラブの奴らではないと思う。なぜなら幸村君が女子なら誰でも落ちる悩殺スマイルでニコニコ笑ってるから。




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