“明後日、放課後。出撃”
屋上で仁王と張り込みをしている最中だった。俺の携帯が振動した。仁王のものもどうやらそうだったようで、テニス部の誰かが何かしらの情報を寄越したのだろうと悟った。
メールを俺達に送ったのは柳だ。これほどの情報を手に入れたという事は、データを使って脅しでもしたのだろう。
相手はどうやら明後日に行動を開始するようだ。
その日にうまくいけば初音への嫌がらせはなくなる。
“了解”そう一言返して、俺は仁王のほうを見る。仁王のほうはメールを見たまま特に何も返信せず携帯をしまったようだ。
横顔がふてくされた様に歪み、時々頭をバツが悪そうに掻く。俺を敵にはしたくなかったみたいだ。
「明後日だってね」
「あぁ」
「俺、もう欲しい物は諦めない事に決めたんだ。だから初音も渡さないよ」
「まだお前さんのもんじゃなか」
「そうだね。とりあえず今日はもう監視はお終い。教室に戻ろうか。」
立ち上がって屋上から出る。たった一週間のチャンスだ。無駄にはしない。
初音は俺が守る、絶対に。
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