「…なぁ」

「なんだい?」


この人選は意図的なものだったに違いないと俺は思う。



俺の担当は屋上……幸村と。
屋上が監視場所なのは別に構わん。じゃが何故こいつとなんじゃ。



「みんながいたんじゃ仁王とゆっくり話せないだろ。」

「勝手に心を読むんじゃなか。それより俺とそんなに話さなきゃならなんのか?」

「うん。仁王の心情を確かめておこうと思ってね。


心情なんて、幸村の手(黒魔術)にかかれば簡単にわかるだろうに。わざわざ俺に直接聞くって事は、それなりの事なんだろう。



「仁王は初音の事が好きかい?」

「…それはどういう意味でじゃ?」

「もちろん女の子としてだよ」


やっぱりな…そんな事だろうと思ったぜよ。
ニコニコしとるが、大分黒いオーラを放つ幸村。こいつも初音が好きなんか。


「好きじゃ。俺にそんな事聞くって事は幸村もじゃろ?」

「うん、あの子のおかげで毎日楽しいんだ。今まで俺たちの周りにいた子と違う。
だからずっとそばにいてほしいんだ。俺のものにしたい。」


幸村の顔はあいつを本当に好いとる顔じゃった。だけど幸村だけじゃない。
俺だってあいつの側にいたいと思っとる。


「赤也に聞いたんだよ。仁王が初音の事好きだって。あぁ、後丸井。」

「お前さんとだけは戦いとうなかった。」

「俺も、君とだけは戦いたくなかったなぁ。」



丸井や赤也ならともかく、こいつだけは敵に回しとうなかった。