俺は赤也の話を聞いて憤っていた。
今日、赤也が一人で見舞いに来た。そして部活であった事を話された。
真田達が何かコソコソやっている事。
初音が誰かに集団で何かされている事。
悔しかった。傍にいて彼女を守る事が出来ない自分が本当に情けないと思った。
今すぐ初音に会って謝りたい。
俺が無理矢理彼女を誘ってマネージャーにしたんだ。
責任感が人一倍強い彼女に断ることなんて出来るはずなかったんだ…。
本当に悪いことをした。
そんな事をされても直マネージャーを続けていてくれる事、そしてお見舞いのたびに笑顔で部誌を渡してくれていた事。
俺は一体何をしているんだろう。彼女の強さに甘えて一体何をしているんだ。
彼女を守りたい。彼女の傍にいたい。
でも、俺には何も出来ない…。
そんな悔しさに俺はシーツをギュッと握った。
赤也は俺を見て何も言わずに俯いた。
沈黙の中、扉を開ける音がして俺はそっちのほうを見た。
入って来たのは俺の担当医の人。
「精市君」
「あ、はい…」
「今日もお友達が来てるのね。それより、一時退院の許可が出たわよ」
「え…」
「あら、嬉しくないの?」
「本当ですか…?」
「女に二言はないわ。でも一週間だけだけどね」
俺は嬉しくて先生の話を全く聞いてなかった。
退院できるんだ…!!
「幸村部長帰ってくるんスね!!!」
「あぁ…!!」
これで、彼女のそばにいられる…!!
何とかしてこの一週間で初音が部活をするのに不便なことがないようにしなきゃ。
多分これは、神様が俺にくれた最後のチャンスだ。
初音を守る最後のチャンス。
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