次の日、珍しく朝は幼馴染三人が迎えに来た。こうして三人で登校するのは一体何年振りだろうか。小学校の頃は毎日一緒に登下校していたのに。三人のおかげで朝学校に行くのは全く辛くなかった。


「ありがと、迎えに来てくれて」

「…別に。たまたま時間に余裕があっただけだ」

「言いだしっぺは日吉なんだよ」

「俺じゃない余計なこと言うな殺すぞ」

「はいはい」

「鞄…俺が、持つ…」

「え、いいよ樺地。それより跡部先輩はいいの?」

「…いい」

「跡部さんの事が心配なら行っていいんだぞ樺地。俺達で登下校はするから」

「ここに、いたい。」



「名前さんの側に、いたい」と樺地は言って私の鞄を優しく奪った。平静を装ってありがとうとは言ったものの、胸キュンしたのは言うまでもない。樺地可愛い。

学校につくとまず下駄箱が大変恐ろしいことになっていた。くすくすと笑い声が聞こえるのでこれをやった人は近くにいるみたいだ。流石天下のテニス部。情報伝達が速い。昨日の出来事はきっともう学校中に広まってしまっているのだろう。下を向いていると視界に靴が入った。


「これ履け」


日吉が持っていたのは紛れもなく私の今まで使っていた靴。でも汚れた下駄箱の中には私の靴が入ってるのに


「昨日すり替えておいたんだ。あそこで笑っている人たちの靴に」

「………お前、どこからともなく靴持ってきたかと思ったらあいつらのものだったのか」

「そりゃそうでしょ。あの三人まだ気付いてないみたいだけど。」


側で見て笑っている女の先輩達の顔がだんだん青ざめていき、その場を離れていった。自分の靴箱に行ったのだろう。向こう側の三年の下駄箱で悲鳴があがった。


「靴の代わりにゴキブリいれてやらなかっただけ良いと思って欲しいけどな」

「そんな事しようとしてたのか」

「冗談」

「じゃないだろ」

「半分ね。でも樺地が塵取りでゴキブリとムカデ捕まえてきたときは流石にビックリしたけど。」

「ウス」

「………樺地、何でも聞くことないんだぞ。」

「俺の、意志…」

「性格悪すぎるだろお前ら」







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