コレだけ思っても届かない
「苗字」
いつから幸次郎に名前を呼ばれなくなったのかな…
帝国学園にいた時はあんなに楽しかったのに。
皆で馬鹿みたいにボール追っかけて。
夜遅くにコンビニ寄ってアイス買って帰ってさ…
病院で不動明王に会って、幸次郎は変わった。
毎日私に好きだって言ってくれてたのに…
ここにきてからは言ってくれなくなった…
『幸次郎、あのね……』
「喋っている暇があるなら練習しろ」
『…っ』
幸次郎は、私のことが嫌いになったのかな…
私はずっと好きだった。
でもどんなに嫌われても、あなたを忘れられないの。
幸次郎に付いて真帝国学園に来た。
幸次郎が何処かへ行ってもう戻ってこない気がしたから。
幸次郎が、皆を…私を忘れてしまうような気がしたから…
それに………
いつから名前を名前で呼べなくなったんだろう…
重症で入院していた俺に毎日会いに来てくれた名前。
あの時怪我したのは名前も同じなのに、名前は笑って俺を励ましてくれた。
その笑顔にどれだけ励まされたかわからない。
礼をいいたくても、恥ずかしくて言えなかった。
礼のかわりに俺は名前に好きだと伝えていた。
不動が来てから、仲間だった鬼道を妬み、その心の隙間に漬け込まれた結果、俺のサッカーはもう綺麗なものではなくなった。
強くなりたいと、ただそれだけでボールを追っかけてたあの時とは違う。
復讐の道具に、憂さ晴らしに俺はサッカーを使った。
もう、お前が知ってる俺のサッカーじゃないんだ。
俺にはお前が好きだなんて言う資格ないんだ。
名前だってこんな奴、好きになんてなる訳ない。
ごめんな……
それでも俺は……
君が好きだ。
このたった一言はもう言えない。************
明日香様リクエストの源田でした。
お互いを想いあっているのに、勘違いで“好き”と言えない。
という設定のつもりです………
では、リクエスト下さった明日香様
ありがとうございました!!!
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