つまなんないよりはましか!!
「今日の部活は終わりね」
お疲れっしたーーー!!と、もはやなんと言っているのか聞き取れないその挨拶を、私は遠くで聞いていた。
部員達がぞろぞろと部室に吸い込まれていく。ネットを片付け、ボールを片付け、まだまだ仕事のある私は、男子達が着替え終わるまで外にいた。
水で適当にドリンクのボトルを洗い流していると、頭に何かがふさぁと落ちてきた。
「まだやってんのかよぃ。寒ぃから中入れって」
『いや、まだ皆着替え終わってないでしょ』
「心配すんな。誰もお前の事を女だとおもってねぇから」
『裸見られても気にしないってか。』
「おう」
『ドヤ顔すんな豚』
「豚って言うな!!」
言い合いをしながらブン太と部室に入ると、着替え終わっていないのがちらほら。
皆私を見たけど、何事もなかったかのように着替えを再開した。
マジで女扱いされてないんだけど。
「お、おまえ!!着替えてんのに入ってきてんじゃねえよ!!」
『着替えるの遅いジャッカルが悪い』
「俺かよ!!」
でもよくよく考えてみたら、ジャッカルはちゃんと私を女としてみてくれているではないか…!!!
『ジャッカル、結婚しようか』
「何でだよ、ヤだよ。」
拒否られた!!!!
皆私の扱い酷くないか?
「名前ってマゾだよね。」
『お前らがドSなんだろうが。私はいたって普通の女子高生だっつの。』
「普通の女子高生…」
『何だよ野牛、文句があるんだったらはっきりお言い!!』
「柳生です。ですが私は柳生ではありません。
柳生に扮した仁王じゃ。」
『そして仁王に扮した柳生でしょ』
「…っよく分かりましたね…」
『だって仁王が、えっマジ?そんな設定だったの俺達。ヤッベ、早く変装しねぇと!!って言う目でコッチ見てるから。』
「仁王君…。」
「スマン野牛…。マニュアルに書いてない事以外は出来んのじゃ。」
「柳生です。」
パートナーにまで野牛って言われてんだけど紳士。てかマニュアルって何だ。
「マニュアルとは、手引書や説明書。そして自動車で、手動式の変速装置。」
『検討違いの答えありがとう柳。』
「礼には及ばん」
『何もしてないけどな。』
「ちょっと皆、いつまでそうやって喋っている気だい?後三秒で部室から出ないと鍵閉めちゃうよ?(黒)」
いつの間にか着替え終わっていた皆と、いつの間にか外に出てスタンバっている幸村(と真田)。
そんな幸村の手に握られているのは部室の鍵。しかもこの部室は中から鍵を掛けられないタイプのもの。
顔を青くして一気に部室の扉へと駆け込む私達。
『ちょっと豚!!もっと痩せなさいよ、出れないじゃない!!』
「俺かよぃ!!?ジャッカルだって身長高すぎてつまってんだよ!!」
「俺かよ!!つーか一人一人出りゃいいだろうが!!!」
『んな事したら部室と一緒に朝までお寝んねだろうが!!!』
「ちょっともう三秒経ったんだけど閉めていいかなぁ?」
『待て待て待て待て!!!!』
つまんないよりはましか!!《死ぬかと思った》
《まぁいんじゃね?》
《何がよ》
《毎日楽しいじゃん?》
《まぁね…。》
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リクエスト下ったあき様、ありがとうございました!!
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