夏の取り合い
「名前は俺の!!!」
「違います!!俺のです!!!」
『いい加減にしてくれ……』
「またやっとるんかお前さんら」
名前は助けてくれと言わんばかりの目で俺を見る。
アイコンタクトで嫌じゃと言ったのが伝わったのか、肩を落とした。
「お前後輩だろぃ!!先輩に譲れよ!!」
「嫌です!!丸井先輩なんかに名前先輩は渡せません!!」
お、そうじゃ。
こいつらのアホな戦いの実況は仁王雅治でお送りするぜよ、プリッ。
名前は俺たちと同じかそれ以上にモテる(女子に)。
その名前が好きで仕方ないブンちゃんと赤也は毎日のように言い合いをしとる。
それを呆れて聞き流す名前と、温かく見守る俺。
『面白がってるだけでしょうが』
「プリッ。それよりブンちゃん、赤也」
「何だよぃ」
「名前が何でそんなに好きなんじゃ?」
「んな野暮なこと聞くなよ。
決まってんだろぃ。あれはずいぶん前の事だ。」
『30字に収めろ』
「名前が上級生に絡まれてる俺を助けてくれたんだよぃ。」
「流石は男勝りの女番長、名前じゃな。」
「あの時名前がやった跳び蹴りが今でも忘れられねぇよ!!」
「で、赤也は何で好きなんじゃ?」
「俺も名前先輩に助けられたんスよ。
部活終わって家に帰ってる途中で変な不良に絡まれて殴られそうになったんスけど、名前さんが来て助けてくれたんです!!
あの時の名前先輩が本当に格好良くて、惚れちゃいました!!」
嬉しそうにそう言って微笑む赤也。
普通の女子ならここでイチコロ。
だがそう簡単にはいかない名前。
コイツは、この立海じゃ知らないものは誰一人としていない女。
喧嘩は強いし、頭も良い。
冷静沈着(多分面倒臭がりなだけだと思うが)で容姿端麗。
申し分なしの人間じゃ。
そんな奴と俺が友達なんが不思議ナリ。
「名前、今日は俺か赤也か」
「どっちが良いか決めてくれ!!」
『はぁ?嫌だ』
「駄目です!!」
『………赤也しつこい』
「だって!!」
「さっきからブンちゃん黙っとるけど、どうしたんじゃ?」
「いやさ、俺今すぐ決めて欲しいとも思うんだけどさ。
もっとちゃんと名前の事知って、名前が俺を納得して好きか嫌いか選んでくれるまで待とうかと思ってさ
だからこれからもよろしくな名前!!」
ブンちゃんにしては良い事言うんじゃな。
ま、どーせ名前は何も思っとらんのじゃろうけど。
そう思って名前を見ると顔真っ赤。
『………ヤバイ仁王…』
「なんじゃ、赤くなって」
『どうしよう…何かすごい今の嬉しいかも…』
「え、じゃあ…」
「名前はブンちゃんを選r『うわあああああああ!!!!!』うおぃ!!!」
発狂して部室から出て行った名前。
意外な展開に固まるブンちゃん。
悔しさに呆ける赤也。
走り去った名前が帰ってきて、正式にブンちゃんと付き合うまで、後数時間。
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沙織様の相互記念リクエストの赤也とブン太でした!!
遅くなってごめんなさい!!
では、リクエスト下さった沙織ちゃん(?)ありがとう!!
これからもよろしくお願いします!!
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