耳栓プリーズ
「どう?大事な仲間に裏切られた感想は」
『最悪ですね』
優しかった中谷先輩…その面影は今の先輩には少しも感じられない。
冷たい笑みを浮かべている。
「でも、計算外。まさか二年生全員が敵になっちゃうなんて。」
『先輩より付き合いが長いので。』
実は今朝、あの宣戦布告騒動を経て、二年生全員に火がつきテニス部の日吉達を除く二年生が三年生に宣戦布告したのだ(もちろん中谷先輩も居た)
嬉しいけど、このクオリティの高さがさすが氷帝…
私も氷帝生だけど。
今は放課後。マネである私達はドリンクを作っている。
何も起こらないように、ちょこちょこ部室を除きに来る二年生を警戒してるからか、中谷先輩は特に何もしてこなかった。
てか、除きに来てくれんのは嬉しいんだけど、皆ちょっと邪魔!!
とりあえず、投げキッスをしてきた小松川君は死刑決定(気持ち悪かった)
そういえばさっきから来ないな…まぁ、いっか。
「よし、ドリンク終わった…。景吾達もそろそろ休憩に入るし…いじめられてもらおっかなっ」
そんな笑顔で言わないでください。取り敢えず私は、鼓膜が破れませんようにと願いながら耳を塞いだ。
「イヤァァァァアアッ!!!!」
耳を塞いだというのに何故ここまでクリアに聞こえるし。
ちょっとマジで耳栓を誰かプリーズ。
そんな事を考えている間に、部室に先輩達が押しかけていた。
「志帆ちゃん、が…っ……叩いて、」
中谷先輩が跡部部長に抱きつく。美男美女だから絵になるなぁ。
じゃなくて、何か変だぞ?
1…、2…、3……
やっぱりだ…足りない。
一人足りないぞ…?
『(宍戸先輩が、いない?)』
おかしいなぁ、いつもだったら跡部先輩と同じ位早く来て何か言うのに…
「あれ、宍戸はどこいったんや?」
「あ、ホントだ、いないCー」
やっぱりか…どこいったんだろ、宍戸先輩…。
まさか、自主練しすぎてへばってるとか?
怪我してたりは、しないよね…
「んだよ、何か用か」
「なんや、どこ行っとったん?」
「便所」
短い返答…宍戸先輩らしいや。それより様子が変だな…。
宍戸先輩は部室でいまだ立ちっぱなしの私を見て、その場から立ち去ろうとした。
それを見て、岳人先輩が宍戸先輩に何か言ってるけど何だろ…
いや、それより……あれは?
「日吉たちだけやなく、宍戸まで誑かしたんか」
「クソクソ!!最低だな!!!!」
「許せないC〜」
ちょ、先輩達邪魔!!見えない!!今、先輩達の後ろに……
「ちゅーわけで…覚悟、しぃや?」
「させませんよ」
「ッ!!」
何かが忍足先輩の頭部に直撃した。
それと共に倒れこむ先輩…
やっぱり。
「言ったでしょう?こいつに何かしたら許さないって」
『先輩に何古武術かましてんの』
「仕方ないだろ?」
「志帆ちゃん大丈夫?」
「ウス…」
「お怪我はありませんか?」
『うん、大丈夫………あれ?』
この上品な喋り方…そして、男子テニス部では聞いたことのない女の子の声…。
「顔色が優れないようですが、大丈夫ですか、如月さん」
『さ、西園寺さん……』
なんでアンタがここにいるんだ!!!
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