頼りにしてください
『日吉、勝手すぎる。あたし何も聞いてない』
「まあまあ……そんなに怒らないでよ志帆ちゃん」
私は今盛大に怒っている。
朝、下駄箱でチョタに会った。クラスが同じなので一緒に教室に向かう。
昨日の宣戦布告騒動はどうやらチョタと樺地と日吉が三人で考えたものらしい。
ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないか。
『チョタはそれでよかったの?お馬鹿日吉があんなことしちゃったから、これからダブルス大変だよ』
「うん、いいんだ。宍戸さんの目が覚めるまでダブルスはやらないって決めたから。」
だから、それが駄目なんだって。
ため息をついて私は教室の扉を開けた。一気に静まる教室内。
あぁ、そうか。もう噂が広まっているのか。
静まり返った教室に驚きつつも、自分の置かれている立場を考えたら当然なんだろう。
チョタに続いて教室に入ると跡部部長のファンクラブに入っている西園寺さんがこっちに向かって歩いてきた。
「如月さん!!!聞きましたよ!!お怪我はありませんか?」
『は?』
暴言を覚悟していた私は驚いて聞き返してしまった。
お怪我はありませんか…ってことは、心配?
『お怪我、ありません…』
脳をフル回転してやっと搾り出して言った答えはなんだか日本語がおかしかった。
ほら、チョタ笑ってんじゃん。おい笑うなって。
「よかったですわ…」
『でも、なんで?』
「如月さんが先輩にドリンクをかけるなんて事するはず有りませんわ。というか、そんな度胸をお持ちではないでしょう?せいぜい足を引っ掛けて転ばすくらいしか出来ないかと。」
『お前もかッ!!!』
何だよ、西園寺さんは完全に日吉の親戚か何かだろ。
ふてくされていたら、クラスメートが私を囲んでいた。
「だから、私達も志帆の味方だよ」
「安心してね」
『あ、ありがとう…』
「如月さん、妥当先輩ですわ。私達中学2年生はこのクラスだけではなく全クラス如月さんの味方です。だから、鳳君や日吉君だけじゃなく私達も頼ってくださいな。」
『うん、ありがとう』
西園寺さんはにっこりと微笑んでくれた。
涙が出そうになった。
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