宣戦布告

「お前!!どうしたんだ、その顔!!」

『………転んだ?』

「聞くな」


部活終了の掛け声がした。

俺と鳳と樺地は真っ先に如月の元へと向かう。
何時もと変わらない笑顔で俺達を迎えたが、そんな如月の頬は赤く腫れていた。

転んだ、と如月は言ったが、多分先輩の中の誰かに殴られたんだろう。
隠したって無駄なんだからな。すぐにわかるんだよ馬鹿。



「……鳳、樺地!!もう、良いよな?」

「うん、今しかないよ」

「ウス…!!」

『ちょ、待って。何の話?全然見えないんだけど…』

「宣戦布告だ」



宣戦布告。戦闘開始の宣言をする事…つまり、俺達後輩は全力で如月を守る。
万が一如月に手を出した時は、先輩だろうがなんだろうが関係ない。
悪いが下剋上だ。


樺地が如月を抱える。(というか捕獲する)
先に部室で着替えているであろう先輩達。

俺に続いて鳳。そして、如月を抱えた樺地
部室前に来て後ろを振り返る。鳳と樺地は俺を見て頷いた。
まだイマイチ状況が掴めていない如月は複雑そうな顔をしている。

そんな如月の頭を鳳が撫で、俺はデコピン。


「俺達を信じろ。行くぞ。」



俺は部室の扉に手をかけた。
扉を開けると、やはり先輩達は帰りの支度をしている最中だった。
跡部さんを含む数人が如月の存在に気付いて顔をしかめている。



「先輩方…俺達から話があります。」

「何の用だ、如月まで連れてきやがって」

「その如月の事ですから」


下剋上の始まりだ。耳かっぽじって良く聞いて下さいね先輩方。
如月は樺地に羽交い絞めにされたまま俯いている。

大丈夫だからな如月。俺たちがお前を全力で守ってやる。


「俺たちは如月を信じています。コイツは俺たちの大切な仲間です。
それにコイツが中谷先輩にドリンクかけるなんて事絶対にしません。
それに跡部さん言いましたよね、こいつは猫被って俺達を騙してたって。
こいつにそんな芸当できると思いますか?この馬鹿正直のアホに。」


後ろで鳳が吹き出した。如月はひどい、とか言ってるけど事実だろ


「そういうわけなので、コイツに何かしたら許しません。
暴力なんてもってのほかですから。もし何かあったら、先輩と言えど容赦はしません。」


尊敬してやまない先輩だが、それよりも俺はコイツが大事だ。


「俺たち後輩からの宣戦布告です」


それだけ言って、俺達は部室から出た。
この後どうするかは、先輩達次第です。


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