四姉妹インクラスルームC



転校生は凶暴だった。まるで野獣のようだった。
というのも、俺のクラスにきた転校生四那賀夏美は化粧もしていなければ、誰かに媚を売るような女でもなかった。

生徒会長(今は関係ないかもしれないが…)である俺の隣の席に案内された四那賀夏美は、男だけではなく、クラスの女をも惹きつける程の美人だった。



「四那賀夏美です。よろしくね」


俺にそう言った声も、クラスに静かに、けれどとても綺麗に響いた。その声が俺の耳に残る。


「あ、あぁ…俺様は跡部景吾だ」


四那賀夏美は微笑んでいた。というより、微笑んだままフリーズしていた。
俺は不思議に思ったが、脳内で一つの答えが浮かんだ。

こいつも俺たちに媚を売り始めるんじゃないか、と。

そうか、こいつもどうせただの転校生。
何か特別なものを持っているかと思っていたが、その程度の女か…。



「随分酷い事言うのね、跡部君」

「は?」


四那賀夏美が席に着いた。そして俺だけに聞こえるようにこう言った。





誰がお前なんぞに媚売るかボケ。




寒気がした。そして俺の脳内には、また一つ新しい答えが浮かんだ。


こいつは獣だ。近づくべからず。


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