四姉妹インクラスルームD


「四那賀秋音、よろしくお願いします」


俺のクラスに来た転校生は、あまり喋るほうではないらしい。
彼女は朝のSHRが終わった瞬間、質問攻めにあっとった。
当然といえば当然なんやろうけど。

その質問の大多数に、転校生はうなずくか首を振るので答えているのがこっから見える。



俺の前の席で静かに授業を受ける転校生。
華奢な肩に、触れるか触れないかの長さの髪。窓から差し込む日差しで、少し茶色く見える。
綺麗な髪やな…。そう思った。


「では、次の英文を訳してもらいましょう。じゃあ今日転校してきたばかりだけど、四那賀さん。」


目の前の転校生が指名された。しかしいつまで経っても立ち上がることも、喋ることもしない転校生にクラス全員が不思議に思って転校生を見る。


「四那賀さん?四那賀秋音さーん」


教師がいくら名前を呼ぼうが、転校生は少しも動かない。
流石にこれはヤバイと思ったのか転校生の隣の席の笹原茜が転校生の肩を叩いて名前を呼ぶ。


「…?」


首だけを笹原茜のほうに向けて彼女は不思議そうな顔をした。
何故、呼ばれたのかわかっていないようだった。


「四那賀さん、あたってるよ?」

「…何が?」

「もしかして聞いてなかった?」

「…寝てた」

「………。」



どうやら転校生は居眠りをしていたようだ。
教師があてた英文の訳をやっと言い終え、転校生は席に着いた。



「四那賀さん、本当に寝てたの?」

「うん」

「だって目、開いたままだったよ」

「うん、いつも」

「………。」


俺のクラスに来た転校生は、かなり不思議な奴らしい。


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